塩を撒いてにんじんを甘くする?鈴盛農園に行ってみた!

今回取材したのは、碧南市でにんじんを栽培する鈴盛農園さん。
メディアにも多数取り上げられ、政界にまで顔を広げた話題の農家さんです。

「太陽熱消毒」や「塩農法」を採り入れ、手作業で栽培を行うこだわりの強さ。
「日本の農業をカッコよく」というテーマを掲げ、さまざまなことに挑戦する鈴盛農園さんを紹介します。

鈴盛農園さんについて

未経験から農業へ

元々自動車関係の仕事に就いていた鈴盛農園の鈴木さん。
この先、可能性のある職業は何だろうと考えたとき、人間の基礎である「食」に関する仕事に興味を持ったそう。

中でもおばあ様がやられていた農業は遠くない存在。
自分で何でも挑戦できるクリエイティブな業界であることに面白さを感じ、農業に挑戦されました。

栽培面積は3.5ha。

メインのにんじんの他に、里芋、さつまいも、菊芋、じゃがいもなどの根菜類とお米を栽培しています。

日本の農業をカッコよく

鈴木さんが農業の世界に足を踏み入れたのは15年ほど前。
農家の高齢化が進み、新規就農者の目標となる存在も少なく、農業界が暗かったそうです。

暗い農業界の希望になればと「日本の農業をカッコよく」というインパクト抜群の言葉をテーマに掲げ、さまざまな挑戦を続けています。

他にもお団子屋さんを運営したり、ラジオパーソナリティを務めたりされています。

鈴盛農園に行ってみた!

鈴盛農園は、IT技術で管理できるところはIT技術で、手作業の方がよいところは手作業で栽培しています。

独自の「塩農法」を採り入れたこだわりの栽培方法についても詳しく聞きました。

IT技術で効率化

少人数でも目が行き届くよう、IT技術を活用。

事務作業のIT化はもちろん、にんじんが枯れないよう、にんじんを覆うビニールの中の温度・湿度をセンサーで管理しています。

離れたところで栽培しているお米に関しては、田んぼの水位がスマホで確認できるんだとか。

手作業で丁寧に栽培

農薬を使わずに栽培するために大切な草取りや間引きは手作業で行います。

理由は、同時に葉に付いている虫も獲れるため。
にんじんの育成状況や畑の状態も近くで確認できるので一石二鳥です。

機械で一気に収穫するのではなく、明日出荷する分だけを手作業で収穫するのもおいしいにんじんの秘訣。

収穫したて、新鮮でおいしいにんじんを届けたいという想いが伝わってきます。

「省力化とは逆行していますが、小規模農家だからこそできる丁寧な栽培方法はしっかりやっていきたい。」と語られていました。

農薬を使わない「太陽熱消毒」

農薬を使わないと、雑草が生え、虫の被害に遭いやすくなります。
被害を抑える方法として採り入れているのが「太陽熱消毒」です。

太陽熱消毒とは、7月初旬、耕してまっさらにした畑に透明なビニールを被せ、土の温度を50度以上にすること。
土の中にある雑草の種や虫の卵、病原菌を消滅させることができます。

ガス剤や農薬を使用する一般的な土壌消毒とは異なり、よい菌は土に残るのが特徴です。

農薬を使わずににんじんを栽培する場合、太陽熱消毒をしている農家さんは多いそう。
暑い中、畑で作業をするのは大変な苦労があるはずです。
安全でおいしいにんじんを届けてくれる農家さんには感謝しかありません。

塩を撒いて甘くする「塩農法」

塩農法とは、塩や乳酸菌を混ぜた液肥を、にんじんが大きくなる時期に葉にかける農法。
塩による浸透圧で、にんじんの余分な水分が抜けて甘みが増すと言われています。

台風で海水を浴びたねぎはすべて枯れたのに、海水が適度に薄まったところのねぎは生育がよく、味もおいしくなったという事例から、塩農法にたどり着きました。

塩の量は土壌環境によって異なり、ただ塩を撒けばよいというわけではありません。
撒く回数や塩分濃度を何度も調節し、にんじんの糖度を測るなどの実験の結果、ベストな塩梅を見つけ出したそう。

ミネラル豊富でにがり成分の少ない「饗庭塩」を使用していることもポイントです。

鈴盛農園さんのにんじんをご紹介

甘さが特徴『スウィートキャロットリリィ』

さらさらとした砂地の畑でストレスなく育つ『スウィートキャロットリリィ』。
にんじん臭さがなく、食べたときに甘みを感じるのが特徴です。

おすすめのレシピは「にんじんたっぷり炊き込みご飯」!
にんじんの甘みがご飯に染み込んで、少しの調味料でも甘くておいしいご飯になるんだそう。

食卓を彩る『しあわせのカラフルにんじん』

日本で栽培できるにんじん全7色からお届けします。
色の組み合わせは届くまでのお楽しみ♪
見た目はもちろん、それぞれ栄養価が異なるのも大きなポイントです。

おすすめのレシピは「にんじんフライ」。
種類によって味や食感が違ってそれぞれのよさが楽しめるそうです。

鈴盛農園の鈴木さんに聞いてみた!

農業への挑戦で大変だったこと

すーさん

農業に挑戦するとき大変だったことは何ですか?

農家になるまでに3年かかったことです
とくに碧南は農家が多いのでなかなか相手にしてもらえず、農地が借りられませんでした。

農家不足で喜ばれると思ったのに驚きましたね。

鈴木さん

日本の農業への想い

すーさん

日本の農業への想いをお聞かせください。

確実に農業人口は減るし、一気に危機的状況まで行くと思います。

でも地域に数人か十数人か、意欲的でいろいろなことを考えて取り組む農家さんがいれば、日本の農業は大丈夫だと思うんですよ。

あの地域には誰々さんがいる、あの人さえいればあそこの農業は大丈夫って思ってもらえる人。
僕はそういう人になりたい。

日本の農業はもう危機的な状態なので、そういう人が増えていって欲しいです。

鈴木さん

今後、挑戦したいこと

すーさん

今後、挑戦したいことは何ですか?

意欲的な農家さんたちから頼ってもらえる存在になりたい。

「これからの新しい農業はこうであるといいよね」と投げ掛けていきたいし、行動で見せていけるといいなと思います。

鈴木さん

組合員さんへのメッセージ

すーさん

組合員さんへメッセージをお願いします。

損をさせるようなものは作っていません!
おいしいだけではなく、このにんじんを食べたら健康になるんじゃないかと思ってもらえるようなにんじんを作っています。

より栄養価の高いおいしいにんじんにするため、毎年新しいことに取り組んでいますので、ぜひ食べてみてください。

鈴木さん

日本の農業に関心を

「2030年ごろには、多くの産地で農家数は半減する予測データを農水省が出している」と、恐ろしい話もお聞きました。

日本はひと続きの農地が少なく、効率的な農業に向いていない地域が多く存在。
大型トラクターなどの機械が使いづらいために収益性が低くなりがちです。

それでも鈴盛農園は、農業の魅力を発信し、農業界を明るくしようと奮闘されています。

私たち消費者にとっても、他人事と思えなくなる日はもうすぐそこ。
日本の農業に関心を持つ人が増えれば、未来は明るくなるかもしれません。

アバター画像

編集担当すーさん

2024年アイチョイスに入協。愛犬をこよなく愛する30代。
アイチョイスでは、気になる冷凍食品をついついたくさん注文してしまうので、冷凍庫が常にパンパン!
冷凍庫のスペースを空けるために毎週必死です。
ナッツはチョコレートに包まれたピーカンナッツが好き。