有機の学校 ORGANIC SMILEの先生に聞いてみた!

前回は、アイチョイスが運営に携わる「有機の学校 ORGANIC SMILE」について紹介しました。
この学校では、有機農家やBLOFインストラクターが講師を務め、未来の有機農家を育てています。

 

今回は、有機農家でもある3人の講師に、普段の有機農業や講義の内容についてインタビューしました。

副理事長 鳥越靖基さんに聞いてみた!

YASKI FRAM 鳥越靖基(とりごえやすき)さん

11年前、東日本大震災での炊き出しなどのボランティア活動をきっかけに、食の大切さ、とくに野菜の重要性について考えるように。
有機農家となるため、熊本県上益城郡山都町へ移住しました。

「自分が学んだ技術を継承することで、有機農業界に貢献できるのでは」との想いで、有機の学校 ORGANIC SMILEの副理事長兼講師を務めています。

主に、BLOF理論の講義の補佐や、先輩農家として栽培の指導をしています。

生産者として、アイチョイスに出荷もしていますよ。

有機の学校ORGANIC SMILEの最大の魅力は?​

編集部

有機の学校ORGANIC SMILEの最大の魅力はどこでしょうか。

基礎を知ることができることです。

今までの農業は「感覚」に頼る農業でした。
しかし、BLOF理論では科学的に植物の力を最大限に生かす方法を学べます。

特に日々変化していく土について知ることはすごく大切なことだと思います。

一緒に勉強したり、ごはんを食べたりと、他の学校にはない「家族のような」関係であるのも魅力ですね。

それぞれの思いを達成するために、講師も研修生も力を合わせています。

鳥越さん

栽培している野菜は?

編集部

栽培している野菜は何ですか。

ピーマン、玉ねぎ、にんじん、カブなど。

夏冬野菜をメインに取り組んでいます。

畑の面積は4.5ha(だいたい東京ドームと同じ広さ!)で、これをYASKI FRAMのメンバー+研修生の3名で管理していますよ。

鳥越さん

7月3日に起きた大雨の影響は?

編集部

2023年7月3日に起きた熊本県の大雨の影響はありましたか。

ピーマンを栽培していた畑近くの川が氾濫して、押し倒されてしまったり、肥料が流れてしまいました。

 

ピーマンの苗は、トウガラシを台木にピーマンの枝を挿した接木苗(※1)を植えていましたが、接木した上部が流され、トウガラシに戻ってしまったところも。

 

また雨が降ると土の中の空気が無くなり、土が固くなるので、根が呼吸できていない箇所もあります。

 

でも、BLOF理論(※2)を実践しているので、徐々に回復してきていますよ。

鳥越さん

※1 接木苗・・・2つ以上の植物を接着し、新たな個体にした苗。土台にする植物を台木という。。

※2 BLOF理論・・・3つの分野に分けて考察し、科学的・論理的に営農していく栽培技術。
詳しくはこちら:BLOF理論について/有機栽培で使用する3つの資材 | ジャパンバイオファーム/有機農業技術の研究・BLOF理論・土壌分析・資材販売 (japanbiofarm.com)

種取り先生 佐藤真実さんに聞いてみた!

佐藤真実(さとうまさみ)さん

父である佐藤勝六(さとうかつろく)さんの代から、有機農業に取り組んでいる、にんじんのベテラン農家です。
現在は、両親と3人で農業をしています。

 

佐藤さんの特徴は、にんじんの種を自家採種(自分たちで種を採ること)している点です。

 

「種(たね)は種(しゅ)を残す」、これが全てだと勝六さんから教わった真実さん。

形が良くて、見栄えも良くて、味もおいしくて・・・という人間の好みに合わせるのではなく、生命力とのバランスを大切にしながら、自家採種を行っています。

 

実は、安定的に種を採るのはベテラン農家でも難しいこと。

そんな中、佐藤さん一家は25年ほど自分たちでにんじんを栽培して種を採り、育てるというサイクルを繰り返しています。

 

自家採種を続けているのは、遺伝子組み換えに対するささやかな抵抗でもあるそう。

自家採種の方法や、お父さんの代から引き継がれている長年の経験についても有機の学校で伝授しています。

自家採種とは?

編集部

自家採種とは何ですか。

育てた野菜から、自分で種を採ることです。

自家採種を繰り返すことで、その土地と環境に適応した野菜になります。

自分の畑に合ったにんじんの種は我が家にとって特別な宝物です。
父の代から、25年ほど黒田五寸という品種を自家採種しています。

佐藤さん

どうやってにんじんの自家採種をするの?

編集部

にんじんの自家採種の方法を教えてください。

冬に収穫した中から100本を選びます。
選んだにんじんの葉を切り落とし、ハウスの中に植え直すんです。

春には新芽が出て成長し、梅雨前くらいまできれいな花が咲きますよ。

その後、種を採ります。

だいたい、100本のにんじんで7,000㎡分の種を確保できますね。

佐藤さん

栽培している野菜は?

編集部

にんじんの他に栽培している野菜は何ですか。

にんじんときゅうりがメインです。

全部で4.5haの畑を両親と3人で行っています。

佐藤さん

トマト大好き 今村剛喜さん・絵理さん夫婦に聞いてみた!

今村鋼喜(いまむらこうき)さん・絵理(えり)さん

トマトを栽培して6年目の今村さん夫婦。
他の人がやっていない難しいことをやりたいと、有機農業の道へ。

始めたころは植えたそばから枯れていくなんてこともありましたが、現在は安定した栽培ができるようになってきたそうです。

BLOF理論を10年前から勉強し、他の野菜の栽培にも挑戦していましたが、人手不足などの理由もあり、現在はトマト一筋。
「強い植物を育てて、美味しいトマトをいっぱい作る」ことを目標に取り組んでいます。

毎年、5月ごろにトマトの苗を3500本植え、収穫は7~11月ごろまで行います。

取材時は収穫の真っただ中。

77キロあった鋼喜さんの体重が69キロになるほど忙しい日々を送っているそうです。

もちろん、アイチョイスにもトマトを出荷していますよ。

トマトの栽培についてBLO理論を用いた講義と、有機の学校ORGANIC SMILEの研修生を受け入れています。

収穫量を増やすために必要なことは?

編集部

トマトの収穫量を増やすために必要なことは何ですか。

根っこの成長が欠かせません。

 

根っこは土がふわふわじゃないと呼吸ができないので、BLOF理論でも提唱されている土中の「物理性」(※1)「生物性」(※2)「化学性」(※3)を整えることが大切です。

 

ひとつでも欠けるとバランスが崩れてしまい、うまくいきません。

 

昨年まではあまり「生物性」を気にしていなかったのですが、今年から注意して栽培したところ過去最高の出来になりました。

今村さん夫婦

※1「物理性」・・・土の固さ、水はけのよさ、通気性など。

※2「生物性」・・・土中の有機物や微生物の多様性。

※3「化学性」・・・土のpHや養分などの性質。

どのようなタイミングで収穫するの?

編集部

どのようなタイミングで収穫するのですか。

赤い状態で採りたいのですが、物流の都合上、青い時に収穫します。


そうしないと、運んでいる途中で傷んでしまうんです。

傷みが出ないギリギリまで熟した状態で収穫しています。

品種はサカタの「麗月」という種。

 

割れにくくて美味しいのが特徴で、このあたりでは珍しい品種かもしれません。

今村さん夫婦

今後の展開は?

編集部

今後どのような展開をしていきたいですか。

有機農家が増えていくと良いですね。

そのためにできることとして、現在研修生を受け入れています。

 

去年までできなかったことができるようになっている研修生の姿をみて、今後がとても楽しみ!

 

なによりも組合員さんに「買い支えてもらう」ことがやりがいに繋がっているんです。

 

一人でも多くの方がいつでも手にできるようハウスを増やし、たくさん収穫できるようにしたいと思いますので、応援よろしくお願いします。

今村さん夫婦

有機の学校 ORGANIC SMILEの理念

「私たちはこの地球(ほし)の生命の息吹が有機的に響きあいSMILEできる未来を創造します」。

この理念をもとに、講師陣は研修生を手厚くサポートしています。

 

講師の多くは、自身も有機栽培を実践している先輩農家。

技術を教えるだけではなく、一緒にご飯を食べたり、他愛もない話をすることを大事にしているそうです。

 

有機栽培の大変さや喜びを肌で感じているからこそ、研修生の細かなサポートができるのですね。

 

「本気で有機農業を拡大するには、まず人を育てることである」

アイチョイスはこの考えにたどりつき、取組みがスタートした年から数えると今年で3年目。

 

有機を通じてみんなが笑顔になる未来を創造できるよう、これからもアイチョイスは有機の学校を応援していきます!

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編集担当もえぞー

2022年アイチョイス入協、30代、夫と2人暮らし。
家庭菜園歴8年目で現在、有機栽培に挑戦中です!
前職では農家さんを相手に野菜の栽培指導をしていました。
ナッツは塩茹でした落花生が大好き♪