完成まで18か月以上!木桶の天然醸造で味噌を育てる「のだみそ株式会社」へ行ってみた!【Vol.1】

和食といえば、白米にお味噌汁が黄金の組み合わせ。
お味噌汁を飲むと、体の芯からじんわり暖かくなって心がほっとしますよね。

今回は、『自然派Style愛知県産大豆使用まめみそ(生)』(以下:自然派Styleまめみそ)や『自然派Style愛知県産大豆甘みそだれ』(以下:自然派Styleみそだれ)でもお馴染み、愛知県豊田市に蔵を構える天然醸造の味噌蔵「のだみそ株式会社」(以下:のだみそ)さんへ取材に伺いました!

『自然派Style愛知県産大豆使用まめみそ(生)』とは

『自然派Styleまめみそ』は、愛知県産大豆のみを使用し、杉でつくられた木桶で18か月以上じっくり熟成させる「天然醸造」でつくられたまめ味噌です。
原材料は、愛知県産の大豆と、塩・水のみ。

さらに、『自然派Styleまめみそ』は、酵母や酵素が生きたままの状態でパック詰めされている「生味噌」です。
味噌本来の芳醇さ、旨味とコクは格別。

粒のないなめらかなタイプのため、毎日のお味噌汁にはもちろん、料理の隠し味にも重宝する一品です。

「のだみそ株式会社」ってどんな会社?

『自然派Styleまめみそ』をつくっているのは「のだみそ」。
昭和3年創業の愛知県豊田市にある味噌の蔵元です。
18か月以上かけた木桶仕込みによる天然醸造という、伝統的な味噌の製法を守り続けています。
熟成に使用する木桶は、古いもので150年前のものを繰り返し使用し、大小含めて約400本の桶があるんだとか。

「味噌はつくらない、育てる」
それが、のだみその味噌づくりの考えです。
日頃から味噌を愛し、時代の流れに左右されることなく、真っすぐな思いで味噌と向き合います。

のだみそのつくる味噌は、愛知県内の多くの学校給食でも使用されており、蔵見学や出張授業など、食育活動にも積極的に取り組んでいるそうです。

のだみそ株式会社の味噌づくりのこだわりに迫る

「天然醸造」と「速醸造」の違い

「天然醸造」とは、加温による醸造促進を行わず、食品添加物を使用せずに、四季の移り変わりの中でゆっくりと熟成する味噌の製法のこと。

味噌をステンレスタンクに詰め、強制的に加温して短期的につくり上げる醸造を「速醸造」といいます。
短期間に大量生産できるため、現在市場に出回る味噌の90%以上が「速醸造」の味噌だそう。

国内流通量1%「木桶仕込み」で「天然醸造」のまめ味噌

「木桶仕込み」の味噌とは、江戸時代から続く製法で、木桶を使い温度調節を一切行わずに作られた味噌のこと。

伝統的な製法ですが、木桶職人の減少や手作業製造によるコスト、熟成期間の長さなどから、木桶を使用して天然醸造の味噌をつくる蔵元は減少の一途。
現在、木桶製法の味噌の流通量は、国内でわずか1%未満なんだとか。

のだみそではこの「木桶仕込みの天然醸造」による味噌づくりを続けています。
長時間かけて味噌を熟成させることで、塩カド(ツンとした塩辛さ)がとれ、まろやかな甘味と深いコクが特徴です。

『自然派Styleまめみそ』の蔵へ潜入!

18か月以上かけてつくる、のだみその味噌づくり。
人間の手が加わるのは全体のたった1%で、その作業には職人の想いとこだわりが凝縮されています。

まめ味噌は「蒸す」が基本!100%愛知県産大豆を使用

『自然派Styleまめみそ』の原材料となる大豆は、100%愛知県産。
契約農家さんが生産した大豆を仕入れ、丁寧に洗浄、浸水させたのち、巨大な蒸し器で蒸し上げます。
大豆の乾燥状態や当日の天候などに合わせて、浸水時間や蒸し時間を調整。

蒸し大豆を使用すると「赤い味噌」、水煮大豆を使用すると「白い味噌」に仕上がるそうですよ!
赤い味噌は塩分濃度が高いと思われることが多いですが、加熱方法に違いがあるだけで、塩分量はほとんど違いがないんだとか。

味噌の味のポイントになる、味噌玉づくり

蒸した大豆を団子状に固めたものに、麹菌を付け、室(むろ、製麹室)の中で2日間静置。

麹菌が繁殖していくことで表面全体を白っぽい粉のようなものが覆います。
薄黄色の層が全体を包み込んでいる状態となれば、麹の胞子が全体を包んだ証だそう。
味噌玉の出来上がりです。

特別に実食!できたての味噌玉の味は?

味噌玉麹の表面は黄色ですが、中は蒸した大豆の色のまま。

今回は特別に、できたての味噌玉麹を一口食べさせていただきました!
ほかほかと温かい味噌玉を一口かじると、たんぱく質の旨味と、ほんのりした甘味が広がります。
麹の生きたパワーをまざまざと感じ、貴重な経験をさせていただきました!

味噌玉・塩・水を混合し「もろみ(まめ味噌の素)」をつくる

味噌玉を機械でつぶし、塩と水を混ぜ合わせ、「もろみ」をつくります。
原材料の大豆が持つ水分量によって、室(むろ)から出した味噌玉の重さが微妙に変わるのだとか。

もろみづくりに投入する水分量は、その日の気温や湿度、味噌玉の水分量に合わせ毎回調整が必要。
最適なやわらかさを導き出し、均質な「もろみ」をつくれるのは熟練の職人技です。

数十年受け継がれる巨大な木桶へ、10トンの味噌を仕込む

「まめ味噌の素」が完成したら、大人がすっぽり隠れてしまう巨大な木桶へ、もろみを敷き詰めます。

1回につき約600kgのもろみを合計20回運び込むので、約10トンの味噌を仕込む計算です!
1つの大桶を仕込むには、2~3時間かかるんだとか。

踏み込み作業は何のために行うの?

味噌は嫌気性発酵のため、酸素が苦手。
そのため、味噌がより発酵しやすいように、もろみを投入するする回数を分け、その都度職人が「踏み込み」作業を行います。

そうすることで、もろみに含まれる空気が抜け、味噌に含まれる微生物が働きやすくなるのです。
また、カビの発生を抑える働きも。

熟練職人の足さばきが光る!「踏み込み」は味噌づくりに欠かせない

「踏み込み」作業は、2名の職人が木桶に入り、もろみを踏み込みます。
はじめは桶の底板が近く、足取り軽やかですが、徐々にもろみの量が増えてくると足場は不安定に。

じっとしていると体重で沈んでしまうので、絶えず足をさばいて踏み込み続ける必要が。
熟練の職人の皆さんは、そんな不安定な足場の中でもリズム良い足さばきで踏み込みながら、スコップで表面を均していきます。

若手の職人の方では、なかなかうまく足が運べず、抜けなくなってしまう方も。
そんな時は、職人の皆さんで引っ張り上げるそうですよ。

天然醸造の蔵の中は、自然の環境下で味噌を育てるため、エアコンなどの空調設備はありません。

10トンのもろみを2~3時間、絶えず踏み込むのは、とても重労働な作業です。
暑い夏や厳しい冬の寒さの中でも、職人の方々は美味しい味噌を育てるために、まっすぐ味噌と向き合いながら作業を進められています。

3トンの重石を積みあげ、18か月以上の熟成期間へ

木桶に仕込まれた味噌は、最後に重石を載せて熟成。
重石は、水分を全体に行き渡らせ、表面のカビなどの繁殖を防ぐために載せるそう。
全体の水分量が均一になることで、発酵や熟成のムラがなくなり、大桶の中のどこをとっても変わらぬ美味しさの味噌となります。

重石の総重量は、仕込み量の1/3程度。
今回取材に伺った桶は10トンの味噌が仕込まれたため、重石はなんと約3トン!

雑然と並べられるわけではなく、この並べ方にも熟練の職人技が光ります。
全体の重さが均一となり、崩れ落ちないように手作業で並べる平積みは、職人の方々にしか為せない技の一つです。

そして、18か月以上の長い熟成期間へ。
静かに、じっくり、ゆっくりと、木桶の森の中で日本の四季を過ごしながら、「もろみ」から「味噌」へ育っていきます。

味噌の堀り出し作業、そして製品へ

18か月の時を経て、重石をどけると、味噌の良い香りが漂い、いよいよ味噌の完成です。
『自然派Stylまめみそ』は、桶から出した後に「加熱殺菌」や「酒精(アルコール)の添加」を行っていません。

木桶の中で育った味噌の発酵力を、そのまま持った「生きた味噌」それが「生味噌」。
掘り出された味噌は、機械でパックに充填され、皆さんのお手元へお届けします。

つくるのではなく「育てる」、美味しさの秘密は「味噌ファースト」の職人技にあり!

18か月という長い時間をかけてつくられる、「のだみそ」の味噌。

全行程のたった1%しか人間の手が加えられないからこそ、その工程に真心をこめて、味噌と向き合う職人の方々の姿がそこにありました。
踏み込み作業や、手作業で載せる重石など、すべては微生物が働きやすい環境を整えるため。
「味噌ファースト」の精神です。

『自然派Styleまめみそ』は、アイチョイスでも人気の商品。

この商品をきっかけに、「まめ味噌の大ファンになりました」「子どものお気に入りです」というクチコミが絶えません。

原材料にこだわり、職人の方々が我が子のように大切に育てた想いが、『自然派Styleまめみそ』の奥深いコクと優しい甘味に広がり、長い時を経て組合員の皆さんにも届いているんですね。

第2弾では、のだみその職員の皆さんへインタビュー。
のだみその食育への想いや、家庭でつくれる手作り味噌、蔵にまつわる「秘密」につても教えていただきました。

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編集担当あっきー

2021年アイチョイス入協、30代、夫と2人暮らし。管理栄養士で栄養教諭。
前職では医療従事者向けに、栄養情報の提供や勉強会講師を勤めていました。実家は農家で、おいしいごはんを食べること、作ることが大好き!
アイチョイスの色々な商品を使った美味しい食べ方や栄養豆知識を発信していきます!
ナッツは芳醇な香りのヘーゼルナッツが好き。ビタミンEも多くておすすめ。