もっと美味しい有機野菜を目指して。「BLOF理論勉強会」に行ってみた!

有機農家のお仕事は、どんなイメージですか?
種まき、除草、収穫などの作業だけでなく、「より美味しい有機野菜を作る」ため研究を重ねている農家さんがいます。

 

そこでお邪魔したのが、愛知県知多半島の生産者グループ「知多の恵み」。
美味しい有機野菜を作るための理論、「BLOF理論」勉強会の様子をレポートします!

「知多の恵みグループ」とは?

知多の恵みグループは、愛知県知多半島(半田市、武豊町、美浜町、南知多町)の農家による共同出荷を行うグループ。

化学農薬・化学肥料を使用せずに、野菜、米、そして果物を育てています(※米のみ除草剤1回使用)。

 

アイチョイスでは、お米やきゅうり、トマト、なす、オクラ、ブロッコリー、さつまいもなどを扱っていて、不定期で、「知多の恵み野菜セット」も販売していますよ。

 

知多の恵みグループの大半が30代、40代で、農業界では平均年齢が低く若手が多いのが特徴。

 

脱サラをして新規就農した方、子育てをしながら農業に取り組む方など、パワフルなメンバーが多く、会うたびにいつも元気をもらいます。

 

アイチョイスと一緒にビオトープ米を育てている杉浦さんも、知多の恵みグループの一員です。

「BLOF理論勉強会」に行ってみた!

BLOF理論は、有機栽培を経験や勘に頼ることなく、下記の3つの分野に分けて考察し、科学的・理論的に栽培をする技術です。

 

[1]作物生理に基づいたアミノ酸の供給

[2]土壌分析・施肥設計に基づいたミネラル肥料の供給

[3]太陽熱養生処理を用いた土壌団粒形成、土壌病害菌抑制、水溶性炭水化物の供給

知多の恵みグループでの「BLOF理論の勉強会」は、2日にかけて開催されました。

1日目は畑での土壌分析、2日目は公民館で今年の夏野菜の反省会です。

 

講師は、元木さん。

元木(もとき)さん

有機農法に化学的データを取り入れた「BLOF(バイオロジカルファーミング)理論」に惹かれ、BLOF理論の提案者・小祝政明氏とJOAAを設立。

 

「一般社団法人 日本有機農業者普及協会(JOAA)」の公認インストラクターとしても活躍し、BLOF理論を分かりやすく解説。

 

また、国内外で技術指導を実施。

1日目:野菜と土の調査

まずはじめに訪れたのは、さつまいも畑。

 

立派なさつまいもが育っていますが、大きくなりすぎてしまい、商品規格に合わないため出荷しづらいそう。

どうやってサイズをそろえ、味の良いさつまいもを作るかが課題になっています。

土壌分析の様子

BLOF理論では、土壌分析を行い、その結果に基づいて適切に肥料を与えることが重要となります。

 

また、上記の写真の左側はpH度、つまり酸性やアルカリ性の度合いを計測しています。

植物にはそれぞれ適した酸性度があり、それに近い方が育ちやすいのです。

ちなみに、さつまいもの最適なpHは5.5~6.0です。

 

上記の写真の右側は土壌中の塩類=肥料分の多さを計測しています。

 

肥料分の測定の結果、光合成に必要なミネラルである「マグネシウム」が足りないことが分かりました。

 

マグネシウムが足りないと、光合成が活発に出来ず、根っこの数が少なくなってしまいます。

さつまいもは、根っこが肥大化したもの。

根っこの数が少なかったため、1つあたりのさつまいもが大きくなってしまったのです。

皆さん真剣に元木さんの分析を聞いています。

 

その後、同様に天狗なす、里芋、玉ねぎの畑で調査を行いました。
半日かけて4か所の畑を回り、1日目は終了です。

2日目:夏野菜の反省と来年の計画

さて2日目は、近くの公民館で「夏野菜の反省と来年の計画」について話し合いました。
まず、作った野菜ごとに分かれて、反省会を行います。

きゅうりチーム
なすチーム

きゅうりチームでは、今年の反省として「収穫期間が予定より短くなってしまったこと」があげられました。

 

長い期間収穫できれば、その分多く、長期にわたり出荷することができます。

講師の元木さんが、その原因や肥料についてアドバイス。

きゅうりを育てる際は、養分が実に集まるよう「仕立て」という葉や茎の先端を切る作業をします。

 

実は、きゅうりは暑さに弱い植物です。
きゅうりの葉は日光を遮る傘の役目も果たすのですが、仕立ての際に葉を取りすぎてしまったようです。

 

そのため、きゅうりが暑さで弱り、長期間収穫出来なかったとのことでした。

こうした反省会を通して、グループ全体の品質の向上を図っています。

美味しい有機野菜は、研究と努力の賜物

こうしたBLOF理論の勉強会を、知多の恵みグループでは昨年4回開催したそうです。

 

私たちが美味しい有機野菜を食べられるのも、こうした努力があってこそ。

知多の恵みグループの皆さんは、非常に熱心な方ばかりで、講師の元木さんに積極的に質問されている姿が印象的でした。

 

ただでさえ大変な有機野菜の栽培。

その中で、農家さんたちは「どうしたらもっと美味しい有機野菜ができるのか」「もっとたくさんの量を収穫できるのか」と日々研究と努力を重ねています。

 

有機農業では、サイズが不揃いだったり、虫食いがあったりして、見た目の良い野菜を作るのは至難の業。
駆け出しの農家さんならなおさらです。

 

しかし、そうした失敗を繰り替えし、農家さんは成長していきます。

そんなところも含めて温かく見守っていきたいですね。

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編集担当たまみ

みっくすなっつの編集長。2022年にアイチョイスに入協、30代、夫と2人暮らし。
編集長のクセに、実は料理は苦手。
商品部のバイヤーに聞いたアイチョイスの美味しいものを試すのが大好き。
最近家庭菜園を始めました。もえぞー先生に色々教わっています。
ナッツは香ばしいクルミが好き。