投稿日2023.10.13
取材日2022.9.27
もっと美味しい有機野菜を目指して。「BLOF理論勉強会」に行ってみた!
有機農家のお仕事は、どんなイメージですか?
種まき、除草、収穫などの作業だけでなく、「より美味しい有機野菜を作る」ため研究を重ねている農家さんがいます。
そこでお邪魔したのが、愛知県知多半島の生産者グループ「知多の恵み」。
美味しい有機野菜を作るための理論、「BLOF理論」勉強会の様子をレポートします!
目次
「知多の恵みグループ」とは?
知多の恵みグループは、愛知県知多半島(半田市、武豊町、美浜町、南知多町)の農家による共同出荷を行うグループ。
化学農薬・化学肥料を使用せずに、野菜、米、そして果物を育てています(※米のみ除草剤1回使用)。
アイチョイスでは、お米やきゅうり、トマト、なす、オクラ、ブロッコリー、さつまいもなどを扱っていて、不定期で、「知多の恵み野菜セット」も販売していますよ。
知多の恵みグループの大半が30代、40代で、農業界では平均年齢が低く若手が多いのが特徴。
脱サラをして新規就農した方、子育てをしながら農業に取り組む方など、パワフルなメンバーが多く、会うたびにいつも元気をもらいます。
アイチョイスと一緒にビオトープ米を育てている杉浦さんも、知多の恵みグループの一員です。
「BLOF理論勉強会」に行ってみた!
BLOF理論は、有機栽培を経験や勘に頼ることなく、下記の3つの分野に分けて考察し、科学的・理論的に栽培をする技術です。
[1]作物生理に基づいたアミノ酸の供給
[2]土壌分析・施肥設計に基づいたミネラル肥料の供給
[3]太陽熱養生処理を用いた土壌団粒形成、土壌病害菌抑制、水溶性炭水化物の供給
参考:BLOF理論|JBFジャパンバイオファーム
BLOF理論について/有機栽培で使用する3つの資材 | ジャパンバイオファーム/有機農業技術の研究・BLOF理論・土壌分析・資材販売 (japanbiofarm.com),(参照2024-08-02)
知多の恵みグループでの「BLOF理論の勉強会」は、2日にかけて開催されました。
1日目は畑での土壌分析、2日目は公民館で今年の夏野菜の反省会です。
講師は、元木さん。
有機農法に化学的データを取り入れた「BLOF(バイオロジカルファーミング)理論」に惹かれ、BLOF理論の提案者・小祝政明氏とJOAAを設立。
「一般社団法人 日本有機農業者普及協会(JOAA)」の公認インストラクターとしても活躍し、BLOF理論を分かりやすく解説。
また、国内外で技術指導を実施。
1日目:野菜と土の調査
まずはじめに訪れたのは、さつまいも畑。
立派なさつまいもが育っていますが、大きくなりすぎてしまい、商品規格に合わないため出荷しづらいそう。
どうやってサイズをそろえ、味の良いさつまいもを作るかが課題になっています。
BLOF理論では、土壌分析を行い、その結果に基づいて適切に肥料を与えることが重要となります。
また、上記の写真の左側はpH度、つまり酸性やアルカリ性の度合いを計測しています。
植物にはそれぞれ適した酸性度があり、それに近い方が育ちやすいのです。
ちなみに、さつまいもの最適なpHは5.5~6.0です。
上記の写真の右側は土壌中の塩類=肥料分の多さを計測しています。
肥料分の測定の結果、光合成に必要なミネラルである「マグネシウム」が足りないことが分かりました。
マグネシウムが足りないと、光合成が活発に出来ず、根っこの数が少なくなってしまいます。
さつまいもは、根っこが肥大化したもの。
根っこの数が少なかったため、1つあたりのさつまいもが大きくなってしまったのです。
皆さん真剣に元木さんの分析を聞いています。
その後、同様に天狗なす、里芋、玉ねぎの畑で調査を行いました。
半日かけて4か所の畑を回り、1日目は終了です。
2日目:夏野菜の反省と来年の計画
さて2日目は、近くの公民館で「夏野菜の反省と来年の計画」について話し合いました。
まず、作った野菜ごとに分かれて、反省会を行います。
きゅうりチームでは、今年の反省として「収穫期間が予定より短くなってしまったこと」があげられました。
長い期間収穫できれば、その分多く、長期にわたり出荷することができます。
講師の元木さんが、その原因や肥料についてアドバイス。
きゅうりを育てる際は、養分が実に集まるよう「仕立て」という葉や茎の先端を切る作業をします。
実は、きゅうりは暑さに弱い植物です。
きゅうりの葉は日光を遮る傘の役目も果たすのですが、仕立ての際に葉を取りすぎてしまったようです。
そのため、きゅうりが暑さで弱り、長期間収穫出来なかったとのことでした。
こうした反省会を通して、グループ全体の品質の向上を図っています。
美味しい有機野菜は、研究と努力の賜物
こうしたBLOF理論の勉強会を、知多の恵みグループでは昨年4回開催したそうです。
私たちが美味しい有機野菜を食べられるのも、こうした努力があってこそ。
知多の恵みグループの皆さんは、非常に熱心な方ばかりで、講師の元木さんに積極的に質問されている姿が印象的でした。
ただでさえ大変な有機野菜の栽培。
その中で、農家さんたちは「どうしたらもっと美味しい有機野菜ができるのか」「もっとたくさんの量を収穫できるのか」と日々研究と努力を重ねています。
有機農業では、サイズが不揃いだったり、虫食いがあったりして、見た目の良い野菜を作るのは至難の業。
駆け出しの農家さんならなおさらです。
しかし、そうした失敗を繰り替えし、農家さんは成長していきます。
そんなところも含めて温かく見守っていきたいですね。
編集担当たまみ
みっくすなっつの編集長。2022年にアイチョイスに入協、30代、夫と2人暮らし。
編集長のクセに、実は料理は苦手。
商品部のバイヤーに聞いたアイチョイスの美味しいものを試すのが大好き。
最近家庭菜園を始めました。もえぞー先生に色々教わっています。
ナッツは香ばしいクルミが好き。