有機野菜・無農薬野菜の違い|オーガニック野菜やメリット・デメリット比較も

有機野菜と無農薬野菜、あなたは本当の違いを知っていますか?
健康や環境に良いと思って選んでいても、実は思わぬ誤解をしているかもしれません。

「有機=無農薬?」「虫食いのある野菜は安全の証?」といった疑問が解決すれば、あなたの今後の野菜選びが大きく変わるはず!

知っているようで知らない、有機野菜と無農薬野菜について解説していきます。

有機野菜・無農薬野菜の違い

有機野菜と無農薬野菜は、健康志向や環境配慮の観点から注目されていますが、明確な定義と特徴に違いがあるんです。

本記事では、有機野菜・オーガニック野菜、無農薬野菜について詳しく解説します。

有機野菜とは

有機野菜とは、農林水産省が決めた厳格な基準に基づいて栽培された「有機JAS規格」に該当する野菜を指します。

特徴は以下の通りです。

有機野菜は栽培で農薬を使ってはいけないイメージがありますが、使用できる農薬もあります。

有機質肥料や堆肥などは使用可能。
ただし、化学的に合成された肥料は使用できません。

参考:有機食品の検査認証制度|農林水産省
有機食品の検査認証制度:農林水産省 (maff.go.jp),(参照2024-08-23)

無農薬野菜とは

無農薬野菜は、農薬を使用せずに栽培された野菜のことをイメージする方が多いと思いますが、野菜にも土壌にもまったく農薬を使わずに栽培された野菜といいきることは難しいんです。

生産者本人が、栽培している間に農薬を使用していなくても、付近の土壌や水路に農薬がゼロであることは証明できません。
確率が低いとはいえ、農薬が流入していることは否定しきれず、消費者に誤った情報を伝える可能性が生じてしまうのです。

農林水産省が2007年に定めた表示ガイドラインでは「無農薬」という表現は、使用できなくなりました。

正確には「栽培期間中農薬不使用」と表現されています。

*アイチョイスの商品には農薬不使用という文言で表記を統一しています。

参考:特別栽培農産物に係る表示ガイドラインQ&A|農林水産省消費・安全局表示・規格課

<5461726F2D3038303632308CBB8DDD93C18DCD8270819582602E6A7464> (maff.go.jp),(参照2024-08-23)

有機野菜と無農薬野菜とオーガニック野菜との違い

オーガニック野菜は有機野菜の英訳であり、違いはありません。

各野菜の違いとしては以下のとおりです。

有機野菜 / オーガニック野菜有機質肥料や一部使用可能な農薬で栽培され有機JAS認証を受けた野菜
無農薬野菜農薬を使用せずに栽培された野菜
 

選び方のポイントは、有機JASマークがついているかどうかです。

それぞれの野菜の違いを理解して、自分のニーズに合った野菜を選ぶようにしましょう。

有機野菜と無農薬野菜のメリットとデメリットを比較

有機野菜/オーガニック野菜と無農薬野菜は、それぞれにメリットとデメリットがあります。
各種類の野菜の特徴を比較して、野菜選びの参考にしてくださいね。

有機野菜/オーガニック野菜のメリットとデメリット

オーガニック野菜は基本的に、JAS有機規格に該当した有機野菜と同義のため、メリットとデメリットについては以下のとおりです。

有機野菜のメリット有機野菜のデメリット

・農薬や化学肥料の使用が厳しく制限されているので安心して食べられる

・環境への負荷が比較的少ない

・土壌の生態系保全に貢献できる

・一般的に価格が高い
・見た目が不揃いの場合もある
・入手しやすさに地域差がある

有機野菜は、小さなお子さんなどがいる家庭でも、安心して野菜を食べられるのが大きなメリットです。

一方で、生産量が限られるため値段が高かったり、形が不揃いで品質にばらつきが出たりする可能性もあります。

無農薬野菜のメリットとデメリット

無農薬野菜は、農薬を使用しないことに特化した栽培方法です。

通常、「無農薬」という表記は農林水産省のガイドライン表示により使用できません。
「農薬不使用」という表記が推奨されていますが、本記事ではわかりやすく「無農薬」と表記しています。

無農薬野菜のメリットとデメリットとしては、主に以下です。

 

無農薬野菜のメリット無農薬野菜のデメリット

・農薬による健康リスクが少ない

・一般的に有機野菜と比較して安価

・地域の小規模農家から入手できる場合がある

・病害虫の影響を受けやすい

・品質にばらつきがある場合もある

・値段が高騰しやすい

 

無農薬栽培の野菜は農薬の心配なく食べられることが消費者のメリットといえます。

生産者からすると、無農薬で野菜を育てることで虫がつきやすく、雑草の処理も必要に。
手間暇がかかってしまうのが一番のデメリットといえるでしょう。

こういった要因があるため、無農薬野菜は値段の高騰や品質のばらつきが出てしまうのです。

有機野菜と無農薬野菜の安全性と栄養価

有機野菜と無農薬野菜は、健康志向の高まりとともに注目を集めています。

しかし、これらの野菜の安全性や栄養価について、正確な情報を持っている消費者は少ないのが現状です。

 

残留農薬の問題、栄養価の比較、味と品質の違いについて、客観的な視点から解説します。

残留農薬の実態と健康への影響

残留農薬とは、野菜や果物の中に残っている農薬のこと。
基準値を超えた農作物は流通できないルールが定められています。

有機野菜と無農薬野菜は、栽培時に農薬を使わなかったり使用量を抑えたりするため、一般野菜と比較して残留農薬値は低い傾向に。

しかし、有機栽培でも基準値以下の残留農薬が検出されることが稀にあります。
別の畑から農薬が飛んできくることが大きな要因です。
近隣の畑との間に壁は存在しないため、風にのって飛んでくる(ドリフト)可能性があるのです。

また、自分の畑では農薬を使用していなくても、近隣の畑で使用した場合、雨などにより土砂に混じって流れ込む可能性も。

さらに、覚えておいていただきたいのが、ネオニコチノイド系農薬。
これはミツバチ減少に関わりがあると指摘される農薬です。

登場以来、広がりを見せていますが、農作物に浸透しやすく残留の可能性が高い性質を持っています。
そのうえ水では洗い落しきれない場合も指摘されているのです。

栄養価の比較:本当に違いはあるのか?

有機野菜と無農薬野菜の栄養価については、さまざまな議論があります。

現在だと以下のような点です。

 

以上の項目から、土壌の品質向上による野菜の品質向上は、有機野菜も無農薬野菜も見込まれると考えられます。
一方で、有機野菜は抗酸化力のある野菜が作れるという報告もあり、より栄養価や品質の高い野菜だといえるでしょう。

参考:栽培条件(有機栽培と慣行栽培)の違いによる野菜栄養成分の比較[I]|辻村卓 他
栽培条件(有機栽培と慣行栽培)の違いによる野菜栄養成分の比較[I] (jst.go.jp),(参照2024-08-23)

参考:環境の視点を入れたフードガイド策定に向けた検討報告書 4.有機農業|農林水産省
kankyo-3.pdf (maff.go.jp),(参照2024-08-23)

味と品質の違い

有機野菜と無農薬野菜の味と品質は、栽培方法や作物・環境の違いによる個体差があるため、明確な違いとしていいきれないのが現状です。
一般的に、有機野菜・無農薬野菜と農薬を使った野菜とを比較した際に、以下のような違いがあるといわれています。

農作物の味わいや栄養については、有機や無農薬に関わらず、土壌の状態や気候、シーズン、生産者の手のかけ方、個体差など、さまざまな要因が関係してきます。

それでもあえていうなら、有機や無農薬栽培の作物は、植物生理を理解し、人がそれを手伝う・・・というスタンスであること。
ばらつきがあるものの、その作物の持つ「おいしくなろうとする力」が大いに引き出されているのです。

有機野菜と無農薬野菜の環境への影響

有機野菜と無農薬野菜は、どちらも環境に配慮した栽培方法として注目されており、生態系の保全や土壌の健康維持に貢献しています。


有機栽培では、化学肥料や化学農薬を使用せず、自然の循環を活かした農法が特徴です。

有機栽培によって、以下の点で環境に良い影響を与えています。

このように有機野菜と無農薬野菜は、環境保全と持続可能な農業の実現に向けた重要な取り組みとして注目されています。
有機野菜や無農薬野菜の選択は、環境への配慮にも貢献しているといえるでしょう。

有機野菜と無農薬野菜はなぜ高いのか

有機野菜と農薬不使用の野菜は、一般の野菜に比べて高価格であることが多いです。
価格差の背景には、生産方法、流通、健康と環境への配慮があります。

これらの要因を理解することで、有機野菜や無農薬野菜の価値をより深く認識できるでしょう。

有機野菜はなぜ高いのか?

有機野菜の高価格の理由は複数あります。

とくに一般にはあまり知られていませんが、有機JAS認証を取得するには、栽培に徹底配慮するだけでなく、その詳細な記録の提出、また登録認証機関の現地調査などを受けることが必須なのです。

第三者が見て安全である・・・と担保するには、現段階ではこのような手続きを踏む必要があります。
規模の小さな生産者や高齢者では、有機JASの取得をあきらめるというケースも珍しい話ではありません。

有機栽培は「草との戦いである」ともいわれていますが、手間がかかることによる人件費の増加、農薬の代替となる資材の費用負担など、生産者にのしかかる経費は目に見えにくい構造です。

流通と需給バランスの問題

有機野菜や農薬不使用の野菜の流通には以下の課題があります。

これらの要因が、価格上昇につながっていますが、近年ではスーパーでの取り扱いが見られるようになり、一般でも支持する方が増えつつあります。
とはいえ、有機栽培の農作物は国内での生産量はわずか0.3%ほど。

この背景の中でアイチョイスは、約半数が有機栽培または有機栽培レベル、残りも生産者が農薬を減らす努力を行った農産物を扱っています。

長年、こうした生産者と直接取引を続けており、少量栽培の生産者とも伴走し、こうした野菜生産のための学習機会を提供するなど、安全・安心な野菜を組合員へお届けする努力を継続してきました。

生産者との直接取引、約12万世帯の組合員へのまとまった流通により実現しているのです!

健康と環境への配慮

有機と無農薬栽培の野菜は、健康と環境への配慮があります。

これらの価値は直接的な経済価値に換算しにくいですが、長期的な視点では重要な投資といえるでしょう。

有機野菜や農薬不使用の野菜の選択は、自らや家族の健康と地球環境負荷を少しでも減らすことにつながります。
現段階ではなんでもあり、なんでも選択できますが、これが未来まで続くかどうかは、誰にもわかりません。

有機野菜と無農薬野菜の賢い選び方

有機野菜や農薬不使用の野菜を選ぶ際には、有機JAS認証、安全性、栄養価、環境への影響、予算などを考慮する必要があります。
認証マークの意味、季節や産地の重要性、予算内で最大限の効果を得るための方法を詳しく解説します。

有機JASマークと特別栽培農産物マーク

野菜選びの際、認証マークは重要な指標です。
有機JASマークは、有機JAS規格に基づいて生産された農産物であることを示します。

何度も繰りかえしてきましが、有機JAS認証マークのついた野菜は、化学農薬や化学肥料の使用を原則行っておらず、遺伝子組み換え技術も使用されていません。
「有機JAS」の文字マークがあるので、簡単に見分けられます。

実は有機JASのように、化学農薬や化学肥料を使わないことが大前提の生産方法では、まかなえない農産物もあります。
とくに果物は長く樹に実らせておくことが多く、虫や病気のリスクが一気に高くなりなる傾向に。

こうした農産物に適用されることの多い安全基準のひとつに「特別栽培」があります。
地域の慣行栽培に比べ、化学合成膜薬と化学肥料の使用量を50%以上削減しているのが特徴です。

申請者によってデザインが異なりますが、「特別栽培農産物」の文字が入っているので確認でき、生産方法や安全性の目安となります。

そして無農薬野菜には公的な認証制度がないため、生産者の説明の直接確認が必要です。

旬や産地を考慮した選び方

有機野菜や無農薬で栽培された野菜の中でも、旬の野菜や地元産の野菜を選ぶことには多くのメリットがあります。

旬の野菜は一般的に栄養価が高く、もっともおいしい状態で収穫されるため味も良好です。
また、供給量が多いため比較的安価になりやすいという経済的なメリットもあります。

地元産の野菜は輸送距離が短いため、環境への負荷が少なくなるという点も見逃せません。
産地表記がされている野菜は、生産地が明確なので、有機栽培、地元、旬というキーワードで選択すると経済的にお値打ちな商品を手にしやすいといえるでしょう。

生産者の顔や紹介がされている野菜も同じ意味を持ちます。
アイチョイスでは、すべての農産品の生産者を公開。
生産者の想いなども一緒に紹介中です。

選ぶ際の指針にしてみてくださいね。

保存方法と調理のコツ

一般的な野菜と保存方法は変わりません。
野菜ごとに適した温度で保存したり、適切な湿度を保つために、ポリ袋やキッチンペーパーを使うなどする方法があります。

調理のコツとしては、有機野菜や農薬不使用の野菜は皮まで栄養価高く食べられるため、サラダなど生で食べたり、皮ごと調理するのもおすすめです。

有機野菜と無農薬野菜の違いでよくある誤解

有機野菜と無農薬野菜に関しては、多くの誤解が存在します。

これらの誤解を解くことで、より正確な知識を持って野菜を選ぶことが可能に。

よくある3つの誤解について詳しく説明します。

「有機=無農薬」は間違い

有機栽培と無農薬栽培は同じではありません。
有機栽培では、有機JAS規格で認められた農薬や肥料を使用できます。

これらは主に自然由来のものなので化学農薬ではありませんが、まったく農薬を使用しないわけではありません。
無農薬栽培は文字通り農薬を使用しない栽培方法です。

ただし、消費者に「農薬、土壌の残留農薬もなし」という誤解を与えないために、販売する際は「無農薬」という表示ができないのです。

「有機=無農薬」とはいえません。
有機は第三者が客観的に確認したものであり、信頼性が高いといえます。
一般野菜(慣行栽培)との違いが明確で、小売りする立場からも消費者に価値が伝わりやすいのが特徴。

無農薬は同様の努力をしていたとしても、第三者の厳しい判断にさらされていないため、有機であるとはいえず、生産者と小売り業者との間で築かれた信頼関係のもとで謳っているという側面があります。

この目に見えにくい事実があることで、消費者に優良誤認を与えないために、無農薬という言葉を使わない、というガイドラインをつくるに至ったのです。

虫食いは安全の証?見た目の悪さについて

有機野菜や無農薬野菜に虫食いがあると安全の証だと考える人もいます。

しかし必ずしも正確ではありません。

実は、農薬を使わずに育った野菜でもきれいなものはたくさんあります。
安全な野菜の見分け方で重要なのは、見た目でなく、栽培方法や生産者の信頼性の確認。

有機JAS認証や特別栽培農産物のマークなど、客観的な指標を参考にするのがおすすめです。

有機野菜は本当に環境に優しいの?

有機栽培は化学肥料や化学農薬を使用しません。
もともと自然に存在した有機物などを、人が少々知恵を絞って助けるといった形です。

 

そのため土壌や水系への悪影響の抑制につながり、環境に優しいと一般的に考えられています。
有機物を活用した土づくりは、士壌の生物多様性を保つのに役立つのです。

有機野菜と無農薬野菜の違いでよくある質問

有機栽培は無農薬ではないのですか?

有機栽培は無農薬ではありません。

一部JAS認定の農薬や肥料の使用が可能ですが、化学肥料の使用ができないのが特徴です。

 

無農薬である厳格な基準が現状はないため、「無農薬」という表記は農林水産省の表示ガイドラインで使用できません。

有機とオーガニックの違いはなんですか?

有機の英訳がオーガニックなため、同義で使用される言葉です。

有機野菜とオーガニック野菜も同じ意味で使われます。

有機野菜の何がそんなにいいの?

有機野菜は、農林水産省が定める基準にそって栽培されるため、安全性の高さが第三者でも確認可能である野菜です。

より健康的な食事や農薬や肥料の使用が気になる方でも安心して食べられるのがメリットといえるでしょう。

有機野菜 なぜ身体にいい?

JAS認定の農薬以外は使用せずに栽培されるため、栄養価が高く抗酸化力のある農作物が育つのが有機野菜の特徴です。継続的に有機野菜を摂取すると身体に良いといわれています。

無農薬野菜の何がメリットですか?

農薬を使用せずに栽培されるので、小さなお子さんなどでも安心して食べられるのがメリットです。

有機野菜と無農薬野菜の違いを知って自分に合う野菜を選ぼう

有機野菜と無農薬野菜の違いの理解は、安心できる食生活の第一歩です。
有機JASマークや特別栽培農産物マークの意味を知り、旬や産地を考慮して、より良い野菜の選択ができるようになります。

「有機=無農薬」や「虫食いは安全の証」といった誤解にも注意が必要。
有機野菜や無農薬野菜は値段が高いため、予算に応じて優先順位をつけ、徐々に取り入れていくのがおすすめです。

正しい知識を持ち、バランスの取れた判断で、健康的で持続可能な食生活を目指しましょう。

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