有機野菜は体に悪い?メリット・デメリットと安全性の真実

「有機野菜が体に悪い」という情報を目にしたことはありませんか?
こうした情報には、誤解や誇張が含まれているケースがあります。

本記事では、有機野菜が体に悪いといわれる理由を、栽培方法の実態や公的論文報告に基づいて、安全性や健康への影響をわかりやすく解説!

有機野菜のメリットとデメリットや賢く取り入れるコツもご紹介します。

有機野菜とは?

有機野菜は化学的に合成された肥料及び農薬を仕様しないで栽培された野菜のこと。
農林水産省が定めた基準に基づいて栽培され、「有機JAS規格」の認定を受けた農産物のみが有機野菜として販売されます。
 

引用:有機JAS制度について|農林水産省食料産業局
yuuki-403.pdf (maff.go.jp),(参照2024-08-16)

有機栽培の定義と認証制度

有機栽培とは、化学的に合成された肥料や農薬に頼らず、自然の生態系を活かして栽培する農法のこと。
日本では有機JAS認定制度が設けられており、この基準を守っていることを、農林水産省に証明する必要があります。

栽培に徹底配慮する以外に、その詳細な記録の提出、また、登録認証機関による現地調査など受けなけらばならず、生産者からは取得するのに手間や労力がかかるとの声も。

引用:有機食品の検査認証制度|農林水産省
有機食品の検査認証制度:農林水産省 (maff.go.jp),(参照2024-08-16)

農林水産省HPによると、有機農業の定義は以下のとおりです。

引用:【有機農業関連情報】TOP~有機農業とは~|農林水産省
有機食品の検査認証制度:農林水産省 (maff.go.jp),(参照2024-08-16)

有機JAS認定制度により、私たちは有機野菜を安心して選べるのです。
有機野菜は環境保護や生物多様性、生産者の健康、口にする方の健康などによい影響を与えるともいえますが、
生産現場での経費、労力などは、一筋縄ではいきません。

収穫量が不安定になりやすいといったことから、有機栽培に従事する生産者は日本国内でわずか0.3%ほど。
これでは価格も高くなってしまいます。
 

有機野菜と無農薬野菜とオーガニック野菜の違い

有機野菜とオーガニック野菜は、同じ意味で使われています。
一方、無農薬野菜は、栽培期間中に化学肥料や化学農薬を使用しない野菜のこと。

*「無農薬」という表記は2007年に農林水産省の表示のガイドラインにより、使用ができなくなっています。
わかりやすくするために、本記事では使用していますが、アイチョイスの商品には農薬不使用という文言で表記を統一しています。
 

有機野菜と無農薬野菜は、化学肥料と化学農薬を使用しないという点においては同じですが、有機栽培は有機JAS認定を受けた商品にのみ可能な表現方法です。 
法的な定義や認証を受けている点が有機野菜と無農薬野菜の違いです。

*アイチョイスでは有機栽培レベルという表現があります。
有機JAS認定を受けてはいないものの、化学肥料や農薬を使用していない農作物に対して、このような呼称をつけて販売を行っています。
 

有機野菜と一般野菜との栽培方法の比較

有機野菜と一般野菜の栽培方法には大きな違いがあります。 
以下のような栽培方法の違いが、野菜の品質や安全性、環境へ影響してきます。

 栽培方法
有機野菜

・化学肥料や化学農薬を使用しない堆肥や緑肥などの

 有機物肥料を活用

・輪作や混作など、自然の生態系を利用

一般的な野菜

・化学肥料や化学農薬を使用

・生産効率を重視

・病害虫対策として予防的に農薬散布

有機栽培では、有機質肥料を使って栽培します。

有機栽培は「土づくり」ともいわれるように、野菜が自ら成長しようとする力を発揮しやすい環境を整えるのです。
そのため、栄養のバランスに優れ、味わいがよくなるといったことが起こりやすくなるといえるでしょう。 

よい土壌は、バランスのよい生態系が構築されており、それらの虫などを餌とする動物が集まってきます。
このバランスが保たれることで、生物多様性が保たれ、持続可能な農業が可能となるというわけです。

古きよき、日本の田園風景がお手本ですね。 

有機野菜が体に悪いといわれる理由

「有機野菜が体に悪い」…このような情報を聞いたことがある方は、驚かれるかと思います。
こうした情報の主張の理由となる主な3つをご紹介。

これらの点について、安全性や健康への影響を正しく理解できるよう整理して解説します。

有機栽培でも農薬の使用は可能

有機野菜に関する一般的な誤解のひとつに、完全に農薬を使用していないのでしょ!?というもの。
実際には有機栽培でも化学
的に合成された農薬ではなく、自然由来の農薬は使用できることになっています。
 

また、
有機栽培でも基準値以下の残留農薬が検出されることも。
この
現象の多くの要因として、別の畑から飛んでくることが挙げられます。
近隣の畑との間についたては立てられないため、風にのって飛んでくる
(ドリフト)といったことが起こるのです。

有機質肥料に含まれる硝酸態窒素の影響

硝酸体窒素は有機質肥料にも化学肥料にも含まれており、有機質肥料で栽培した野菜だからといって、違いがあるわけではありません。
栽培方法を問わず、窒素肥料として野菜の生長に不可欠な栄養素なのです。

硝酸態窒素は野菜の成長には必要であっても、人の身体には直接必要ないのは確かです。
乳幼児に硝酸態窒素が多く含まれた水を飲ませると、メトヘモグロビン血症を引き起こす可能性が。
しかし、野菜摂取による健康へのベネフィット等を考慮すると、健康への悪影響がある可能性は低いと考えられる、としています。

硝酸態窒素は地下水汚染や地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出につながるとの報告も。

過剰な施肥は環境や人体に悪影響を及ぼす可能性があるため、適切な肥料の散布について知っておくことが大切といえるでしょう。

※硝酸体窒素・・・作物の生育に不可欠な栄養素で、微生物の働きによって植物が吸収しやすい形となったもの。

引用:ベビーフード中の硝酸性窒素濃度の調査及び経口暴露の推定|農林水産省
106th_eisei2.pdf (maff.go.jp),(参照2024-08-16)

参考:食塩からの硝酸塩の摂取量|農林水産省
食品からの硝酸塩の摂取量:農林水産省 (maff.go.jp),(参照2024-08-16)

引用:自然界における窒素の循環と地下水汚染|環境省
S_Tech_Doc_2d_2021.pdf (env.go.jp),(参照2024-08-16)

無農薬栽培による病害虫リスク

無農薬で野菜を育てると虫がつきやすく、雑草の処理が必要になります。
農薬なしでの除草作業は生産者にとって大変な作業。

デメリットというのは食べる側より、むしろ生産する側の方にあるといえるでしょう。

有機野菜のメリット4つ

有機野菜には、主に以下4つのメリットがあります。

これらのメリットは、有機栽培の特性や方法から生まれるものです。

以下では、それぞれのメリットについて解説します。

安心して食べられる

有機野菜の特筆すべきメリットは、慣行栽培と比較して安心して食べられることです。 

JAS認証を受けた有機野菜は、化学肥料や化学農薬を使用しないため、農薬の残留リスクの少ない野菜を食べられます。 

遺伝子組み換え技術も禁止されているため、有機野菜を選べば非遺伝子組み換え野菜を自動的に選ぶことになります。

栄養価の違いは本当にあるのか

有機野菜の栄養価については、一般的に栄養価が高いといわれており、栄養素や抗酸化物質の含有量が多いという論文があります。
栄養価について意見が分かれるのは、栄養価は品種、栽培条件、収穫時期、保存方法、個体差など、多くの要因に影響されるためです。

有機栽培では化学肥料を使用しないため、土壌中の微生物活動が活発になり、野菜の栄養吸収によい影響を与える可能性があります。
 

農林水産省の報告では、有機農業は土壌中の有機物含有量が高く、面積あたりの栄養損失が少ないため、栄養成分が安定しているといわれています。 

参考:栽培条件(有機栽培と慣行栽培)の違いによる野菜栄養成分の比較[I]|辻村卓 他
栽培条件(有機栽培と慣行栽培)の違いによる野菜栄養成分の比較[I] (jst.go.jp),(参照2024-08-16)

参考:有機農業 推奨行動をガイド・後押しする情報・エビデンス等|農林水産省
kankyo-16.pdf (maff.go.jp),(参照2024-08-16)

環境保護と持続可能な農業への貢献している

有機栽培は、環境保護と持続可能な農業・漁業に貢献しています。 
化学肥料や化学農薬を使用しないため、土壌や水質の汚染リスクの軽減ができ、生態系のバランス維持につながっています。 

有機栽培は生物多様性の保護にも影響しており、昆虫や鳥類などの生態系の保全にもつなげられるのです。 

野菜本来のおいしさを楽しめる

有機野菜の魅力のひとつが、野菜本来の味わいを楽しめること。
有機栽培では、化学肥料に頼らずに有機質肥料を活用して土壌の質を高めるので、野菜がゆっくりと育ち、野菜の味や香りが強くなりやすいのです。


地元の有機野菜を選べば、物流にかかる時間が短いためより新鮮な状態で食べられ、新たな食の楽しみを発見できます!
 

有機野菜のデメリットと注意点

有機野菜には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットや注意点も存在します。

主な課題としては以下です。

これらの要因は、有機栽培の特性や市場の現状から生じています。有機野菜を選ぶ際には、デメリットを理解した上で、自分のライフスタイルや価値観に合わせた判断が重要です。 

高価格である

有機野菜のもっとも顕著なデメリットは、一般の野菜と比べて価格が高いことです。
高価格の背景にはこのようなことがあります。

化学農薬や化学肥料を使用しないと、雑草や病害虫の管理に多くの時間と労力がかかります。
収穫量が不安定で、一般栽培と比べて生産効率が下がる傾向にあり、生産者にも一定の覚悟を強いることになるのです。
 

こうした要因が、有機野菜の価格を押し上げることになります。

見た目や形の不揃い

有機野菜は、自然の生態系を活用して野菜そのものが持つ力を発揮させる栽培であるため、野菜それぞれの成長スピードにバラつきが出やすく、サイズや形が不揃いになりがちです。

流通が少ない

有機野菜の普及を妨げる大きな要因のひとつが流通量の少なさ。 

有機栽培は一般的な栽培(慣行栽培)と比べて生産量が少なく、形が不揃いであることが多いことで、大規模な流通システムにのりにくいという特徴があります。 
そのため、一般のスーパーマーケットでは品ぞろえが限られていることが多く、消費者が出会える確率も低いのです。

アイチョイスでは取り扱い農産物の60%程度が有機栽培あるいは、有機栽培レベル。

そのほか専門店や農家直売所などで、有機野菜を手にできます。 

安全で健康的な野菜の選び方

有機野菜を摂りたいな…と思ったらどのようにしたらよいのかをお伝えします。
正しい知識と方法を知ることで、安全で健康的な野菜選びや可能に。
 

3つの観点から、安全で健康的な野菜の選び方を詳しく解説します。 

これらの知識を身につけると、より賢い野菜選びができるようになりますよ。

有機野菜を選ぶ際に

有機野菜と一般野菜のどちらを選ぶべきか迷う場合もありますが、それぞれの特徴や利点を理解し、バランスよく取り入れることが重要です。

有機野菜の利点

・残留農薬のリスクが低く安心

・環境にやさしい

・一部の研究では栄養価や抗酸化物質が豊富

一般野菜の利点

・比較的安価で手軽に購入できる

・化学肥料や化学農薬の使用により安定した供給が可能

有機野菜は一般的に高価で流通量が少ないため、皮ごと食べる野菜はできる限り有機を選び、旬の野菜や地元野菜を優先してください。
旬の時季の野菜を選べば、有機野菜といえども買いやすい価格であることが多く、取り入れやすいです。


予算、旬、食べたい料理などによって、選択してください。 

農薬の残留基準と安全性の理解

農薬の残留基準は、食品安全期間によって設定されており、食品中の農薬残留量が人体に影響を及ぼさないレベルになっているかどうかを厳しく規制しています。 

ADI(一日摂取許容量)やポジティブリスト制度による、農薬を使用すること自体も厳しく管理。
さらに定期的な残留農薬検査も行われ、基準値をこえる農薬が検出された場合は流通が禁止される仕組みになっているのです。

日本に暮らす私たちは化学農薬や化学肥料が使われていても、人体にとって害がないと考えられる範囲の野菜を購入できる仕組みになっています。

しかし、これらの結論は各農薬の単体での安全性。
複合的に長く摂り続けた時に人体にどのような影響が出てくるのか・・・それは今の段階で誰にもわかりません。

化学農薬や化学肥料を使用するようになって歴史が長くないため、「安全・安心です!」というエビデンスがまだ存在していないのです。 

野菜の正しい洗い方と調理方法

野菜の安全性を高め、栄養価を最大限に活かすには、正しい洗い方と調理方法が重要です。 

ここではとくに有機野菜に絞って調理時のポイントをご紹介します。

 

洗い方のポイント

・流水でしっかり洗い、表面の汚れや付着物を除去する

・葉物野菜は一枚ずつ丁寧に洗い、虫や土を取り除く

・根菜類はブラシを使用し、皮の溝に入った汚れも落とす

・必要に応じて、食品用の洗剤や重曹を使用する
(使用後は十分にすすぐ)

調理方法のポイント

・皮ごと調理:にんじんやじゃがいもなどは皮ごと調理すると栄養素を無駄なく摂取できる

・蒸し調理:栄養素の損失を最小限に抑える方法で、とくにビタミンCが豊富な野菜に適している

・短時間で加熱:野菜を短時間で加熱して栄養素の損失を防ぐ

・ゆで汁も使用:ゆで汁を使うことで水溶性ビタミンの流出を防ぐ

保存方法のポイント

・適切な温度と湿度管理を行い、鮮度と栄養価を保つ

・早めに消費し、長期保存による栄養価の低下を防ぐ

・野菜の種類に応じた最適な保存方法
 (冷蔵・常温・冷凍など)を選択する

  •  

これらの方法を実践すると、有機栽培の特性やメリットを活かした野菜料理が楽しめます。 
正しい知識と適切な取り扱いが、野菜の安全性と栄養価を最大限に引き出すカギです。  

有機野菜を上手に取り入れるコツ

有機野菜を日々の食生活にうまく取り入れるためには、購入するだけでなく自分で育てるのもおすすめです。

家庭菜園で有機栽培にチャレンジ

家庭菜園での有機栽培チャレンジは、新鮮で安全な野菜を手に入れるのにおすすめです。
まず、ベランダなどでのプランター栽培などの小さな規模から始めましょう。
初心者は有機栽培用の培養土がおすすめです。

慣れてきたら、堆肥や腐葉土を使った土づくりで、ふかふかな土を目指してみてくださいね。
病害虫対策には、コンパニオンプランツの活用や防虫ネットなどの方法を取り入れるのがおすすめです。

初心者でも育てやすい野菜である、ミニトマト・きゅうり・ピーマンなどから始めてみては?
初心者におすすめの家庭菜園に向いた野菜について解説した記事もあるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

「有機野菜 体に悪い」のよくある質問

有機野菜のデメリットは?

有機野菜のデメリットは以下の通りです。

・高価格であること
・見た目や形の不揃い
・流通量が少ないこと

有機野菜は完全に無農薬ですか?

「有機野菜=無農薬」ではありません。

農林水産省の有機JAS認証された自然由来の農薬の使用が認められている一方で、化学肥料や化学農薬の使用は禁止されています。

オーガニック野菜は体にいい?

化学農薬や化学肥料を使用しないため、身体にやさしく、一般的な野菜と比較しても安心して食べられます。

有機野菜の健康効果は?

一部の研究で、有機野菜はビタミンやミネラル、抗酸化物質を多く含み、栄養価が高いという発表がされています。

一方で、栄養価が高いとはいえないという指摘もあるため、一概に健康効果があるとはいえません。

農林水産省の報告によると、有機農業は土壌に含まれる有機物の量が高く、面積当たりの栄養損失が少ないため、栄養成分が安定していると発表されています。

参考:有機農業 推奨行動をガイド・後押しする情報・エビデンス等|農林水産省
kankyo-16.pdf (maff.go.jp),(参照2024-08-16)

有機野菜は体に悪いわけでない!

有機野菜が体に悪いという主張もありますが、流通している野菜は、農林水産省の厳格な基準にしたがって規制・管理されています。

適切に選択・調理された有機野菜は、体にやさしい食生活に貢献する可能性があります。

重要なのは、有機野菜や一般野菜を問わず、新鮮で栄養価の高い野菜を摂取することです。
とくに、有機野菜の選び方や調理法を正しく理解し実践すると、より栄養価の高い食事を楽しめるようになります。

また、有機野菜がスーパーなどで入手が難しい場合は、宅配サービスや家庭菜園などを利用して、自分のライフスタイルに合った方法を取り入れるのがおすすめです。

有機野菜を通じて、食の安全性や環境問題への意識を高め、より豊かで持続可能な食生活を目指しましょう。

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