食品添加物のリン酸塩とは?用途やリン・有機リン・無機リンの違いと多く含まれる食品を解説

「食品添加物のリン酸塩って危険なの?」「リン酸塩や無機リンってよく聞くけど、何が違うの?」
こうした疑問をもっている方が多いのではないでしょうか?
リン値が高めだとリンの影響が気になりますよね。

この記事では、リンに関する疑問を徹底解説します!
リンを正しく理解し、安心して食事を楽しみましょう。

食品添加物のリン酸塩とは

リンは私たちの体にとって必要なミネラルであり、骨や歯の形成に欠かせない成分です。
なお、食品添加物としてのリン酸塩は、腎臓や骨への影響も考慮し、適量の摂取が求められます。

とくに現代の食生活では、インスタント食品や加工食品の利用が増えたことで、知らないうちにリンの摂取量が多くなりがち。
「どのような食品にリンが含まれているのか、食べても問題ないのか」を知ることが大切です。

以下では、リンの用途や無機リン、リン酸塩との違いなどを解説します。

食品添加物のリン酸塩の用途

リン酸塩は食品の品質を安定させ、食感を良くしたり保存性を高めたりする役割をもつ食品添加物です。
具体的にどのような用途があるのか、以下の表にまとめましたので参考にしてください。

用途実質的な効果使用される食品
保水性や食感の向上プリッとした弾力やなめらかさをセットハム、ソーセージ
乳化・安定化成分が分離しないようにするチーズ、アイスクリーム
膨張剤の補助生地をふんわりさせるパン、中華麺類
色・味・風味の安定化味を安定させる各種食品

リンとリン酸塩の違い

「リン」と「リン酸塩」という言葉は、よく似ていますが、実は少し違う性質をもちます。
どちらも食品に含まれる成分ですが、それぞれの違いを理解することで、より正しくリンの摂取できるコントロールとなるでしょう。

リンとリン酸塩の違いを表にまとめたので参考にしてくださいね。

 リンリン酸塩

定義

体に必要なミネラルリンが酸素と結びついた化合物
含まれる食品肉、魚、乳製品、豆類加工食品、インスタント食品、ソーセージなど
吸収率10~40%(吸収されにくい)90%以上(吸収されやすい)
影響適量なら健康維持に重要過剰摂取は腎臓や骨に負担をかける

リンとは?

リン(P)は、人体にとって必要不可欠なミネラルの一つで、カルシウムとともに骨や歯の形成をサポートします。

また、細胞膜の構成成分にも含まれ、筋肉や神経にも機能しているのです。
リンは自然界に広く存在し、肉、魚、乳製品、豆類などの食品に含まれています。
リンの主な働きは以下のとおりです。

私たちは普段の食事から、これらの天然のリンを摂取しています。
しかし、現代の食生活では、食品添加物としての「リン酸塩」を多く摂取してしまう傾向があるのです。

リン酸塩とは?

リン酸塩(リン酸)は、リンを含む化合物の総称です。
リン酸塩は、食品添加物として使用される場合、以下のような役割を果たします。

食品に使われるリン酸塩には、さまざまな種類がありますが、とくに「無機リン」と呼ばれるものは、体に吸収されやすく、摂りすぎると腎臓や骨の健康に影響を与える可能性があります。

有機リンと無機リンの違い

食品に含まれるリンは、「有機リン」と「無機リン」の2種類に分けられます。

種類有機リン無機リン
特徴自然な形で食品に含まれている食品添加物として加工過程で添加される
 主な食品例 肉・魚・卵・乳製品・豆類など 加工肉製品・インスタント食品・清涼飲料水など
体への吸収率比較的低い
(約30%程度)
高い
(約90%以上)
健康への影響適量であれば問題ない過剰摂取で腎臓や骨に負担をかける可能性

有機リンは日常的な食品から自然に摂取できる栄養素です。
無機リンは加工の過程で添加される食品添加物で、腸からの吸収率が高いため、摂り過ぎに注意が必要。

日常の食事では、肉・魚などの自然な形で食品に含まれている有機リンを中心に、加工食品に含まれる無機リンの摂取を意識的に調整することが健康管理のポイントとなります。

食品添加物のリンが多く含まれる食品一覧

日常の食品選びの参考としてリン酸塩(無機リン)が添加されやすい食品と、自然な形でのリン(有機リン)を含む食品を以下にまとめました。

リン酸塩(無機リン)が添加されやすい加工食品

自然な形でリン(有機リン)を含む食品

健康に考慮した食事では、自然な形でリンを含む食品を中心に、食品添加物としてのリン酸塩を含む加工食品は適量を心がけることがおすすめです。

食品添加物のリン酸塩の目安摂取量

食品添加物のリン酸塩は、適量であれば問題ありませんが、過剰摂取すると健康リスクが高まることが知られています。
厚生労働省によると、成人の1日あたりのリンの推奨摂取量は800〜1000mgです。

加工食品の摂取が多い人は、知らないうちに摂りすぎる可能性も。
腎臓や骨の健康を守るため、無機リンの摂取を減らす工夫が必要です。
食品選びを工夫し、加工食品を控えてリンの摂取バランスを整えましょう。

加工食品を使用する際は下記の方法でリン酸塩を減らせますよ。

食品添加物のリン酸塩は本当に危険?

「リンが体に悪い」といわれる場合もありますが、すべてのリンが危険なわけではありません。

そもそも、リン自体は体に必要なミネラルです。
しかし、無機リンを過剰に摂取すると、腎臓や骨、血管に負担をかける可能性があると分かっています。

無機リンは加工食品・インスタント食品に多く含まれ、食事を意識しないと摂取量が増えやすくなることも。
有機リンと比較して、無機リンは腸から吸収されやすいため、血清リン濃度が上昇しやすいです。

過剰摂取を避けるために、有機リンが多く含まれる自然食品も意識的に選びバランスを整えるのが重要だといえるでしょう。

食品添加物のリン酸塩の表示義務はあるの?

現時点では、日本では食品の栄養成分表示に「リンの含有量」を明記する義務はありません。
一方で、食品の原材料欄にリンの記載がある場合もあります。リンが含まれる食品添加物は、以下のように記載されます。

表示される名称用途含まれる食品
リン酸塩pH調整剤・水分保持加工肉、チーズ、インスタント食品
リン酸塩(Na)製造用剤ハム、ソーセージ、冷凍食品
ピロリン酸ナトリウム乳化剤・膨張剤ベーキングパウダー、パン、ビスケット
リン酸水素カルシウム膨張剤・強化剤ベーキングパウダー、チーズ

「リン」という単語自体はほとんど記載されないため、食品添加物名をチェックするのがポイントです。
食品を選ぶ際にはなるべく食品添加物不使用の食品を優先して、リンの過剰摂取を防ぎましょう。

食品添加物のリン酸塩に関するよくある質問

食品添加物に含まれるリン酸塩とは?

食品添加物のリン酸塩(主に無機リン)は、食品の品質向上や保存のために使用。
たとえば、以下のような機能があります。

食品添加物のリン酸塩にはどんな危険性がありますか?

リン酸塩(無機リン)を過剰に摂取すると、腎臓への負担が大きくなり、身体に悪影響を及ぼす可能性があります。
他にも、カルシウムの吸収を妨げるため骨密度の低下や、血清リン濃度が高くなると動脈硬化のリスクも上がる場合も。

加工食品に含まれる無機リンは吸収率が高く、摂取しすぎるとリスクがあるため、食品選びが重要です。

リンが体に悪いのはなぜですか?

リンが体に悪いのは過剰摂取した場合です。

リンは本来、人間の体に必要なミネラルの一つ。
骨や歯の形成、エネルギー、DNAの合成など重要な役割を果たします。
ただし、加工食品に多く含まれる無機リンは体への吸収率が高いため、知らず知らずのうちに過剰摂取してしまいがちです。

食品添加物のリン酸塩を正しく理解して安心な食生活を送ろう!

リン酸塩は適量であれば問題ありませんが、現代の食生活では知らず知らずのうちに摂取量が増えがちです。
健康維持のために以下のポイントを意識しましょう。

アイチョイスでは、リン酸塩を使用しないハムやソーセージを取り扱っています。
また、かまぼこなどの水産練り製品についても、リン酸塩不使用の商品を提供。

「すべてを制限」よりも「意識して選ぶ」ことが安心な食生活への第一歩です。
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