有機野菜の栽培に欠かせない有機質肥料とは?種類やメリットデメリット、追肥のやり方まで

有機栽培に欠かせないのが、有機質肥料です。

有機質肥料は多くの種類があるため、これから家庭菜園で有機栽培に挑戦しようという方は、どれを選べばいいかわからない状況にあるでしょう。

そこで、有機質肥料のそれぞれの特徴をわかりやすく比較し、使い方や追肥のやり方なども解説しています。
本記事を読めば自分が何の有機質肥料を選べばいいかわかるようになりますよ。

目次

有機野菜の栽培に使われる有機質肥料とは?

有機質肥料とは、動植物由来の有機物を原料にした肥料で、自然のサイクルを活かして作物を育てるために使用する肥料です。

化学的に合成された肥料とは異なり、有機質肥料は栽培時に土壌中の微生物によって分解され、作物が必要とする栄養素をゆっくりと供給します。
その結果、野菜は健康的に育ちやすくなり、土壌の改良も可能です。

有機JAS規格に基づく有機栽培は、化学肥料や農薬を使用しないため、環境にやさしい栽培方法です。

有機JAS認証の肥料もあり、化学肥料を使わずに安心して収穫した野菜を楽しみながらも、持続可能な農業の実現にもつながります。

参考:有機資材リスト掲載一覧表|農林水産省
有機資材リスト掲載一覧表:農林水産省 (maff.go.jp),(参照2024-10-11)

化学肥料との違い

有機質肥料と化学肥料の違いを以下の表でまとめました。

項目有機質肥料化学肥料
原料主に植物、動物由来の有機物質原料化学燃料など合成された無機物原料
肥効遅い(即効性のあるものも含む)速い
品質ばらつきがある安定している
供給原料によって限りがある安定した供給ができる
価格成分量あたりの価格が高い傾向成分量あたりの価格が安い傾向
土壌への影響土の団粒構造を向上させ、水はけや空気の通りを良くする土壌中の微生物が減り、土が固くなりやすい
その他土壌改善効果も期待できる肥料の分量を調整しやすい

有機質肥料と化学肥料の大きな違いは原料。
有機質肥料は生物由来の有機物原材料が使われています。

化学肥料は、化石燃料などの化学物質から作られており、品質や肥料の効果にも違いが。
野菜が育つ速度は、有機質肥料を使用した野菜の方が本来の成長スピードで育つため遅く、化学肥料を使用した場合、即効性があり素早く育てられるのが特徴です。

肥料の品質は、自然由来の原料を使用した有機質肥料はばらつきが生まれますが、化学肥料は一定品質を保っての製造が可能。

しかし化学肥料の使用が慢性化した土は、微生物のエサが少なくなり土壌内の生物の暮らしに影響を与えます。

環境の維持などの点からも有機質肥料との違いがあるため、それぞれの特徴を理解して、目的にあった肥料を選ぶのが大切です。

オーガニック肥料と有機質肥料の違い

オーガニック肥料と有機質肥料は同じ意味です。
どちらも植物や動物など自然由来のものを生かした肥料のこと。

資材評価機関に、肥料等の原材料・製造工程等を示す書類を添付して評価を受けた肥料が「有機JAS適合肥料」として、農林水産省が公開しているリストに掲載されています(※)。

有機JAS認証を取得した生産者は「有機JAS適合肥料」を使用するか、肥料メーカー等から入手した根拠書類により、適合性を判断した肥料を使って栽培しているのです。

※資材・・・畑における資材とは、農作物の栽培や土壌管理に使用されるさまざまな材料や道具のこと。

有機野菜を作る際の有機質肥料のメリット・デメリット

有機野菜の栽培において、有機質肥料の使用は多くのメリットがありますが、デメリットも。
以下では、それぞれのメリットとデメリットを解説します。

有機質肥料のメリット

有機質肥料の最大のメリットは、土壌の健康を維持しながら持続的な農業を可能にする点です。

有機質肥料は土壌中の微生物のエサとなり、ゆっくりと分解されるので、長期間、野菜に栄養を与え続けられます。
土壌中の微生物などの生き物によって、土壌の構造が改善されふかふかの土になるのです。

ふかふかの土にはたくさんのすき間があります。
このすき間のおかげで、大雨が降っても水がはけ、乾燥しても水分を保ちやすくなるのです。

さらに、空気も通りやすくなるので、野菜の根が呼吸しやすい環境が整うように。
有機質肥料を使用することは少し手間がかかりますが、長い目で見るととても素晴らしい効果があるといえるでしょう。

野菜が生長しやすい環境が整えられるため、品質が高まりやすくなるのもメリット。
有機野菜の栽培は有機JAS認証を受けているため、消費者からの信頼を得やすく、健康志向の高い市場で価値が高まりつつあるのです。

参考:有機質肥料と有効微生物利用による微生物資材の開発|野口勝憲
ja (jst.go.jp),(参照2024-10-11)

有機質肥料のデメリット

有機質肥料の最大のデメリットは、即効性が低く、効果が現れるまで時間がかかる点です。

また、有機質肥料は品質にばらつきがあり、成分が均一でない場合も。
使用量やタイミングに注意が必要です。

有機質肥料は、適切に発酵していない肥料を使用すると、作物の根を傷めたり、病害虫の発生を招くリスクがあります。

価格も化学肥料に比べて高いです。

これらのデメリットを理解しつつ、計画的に有機質肥料を使用しましょう。

有機質肥料の13種類と野菜栽培での使い方

植物の生育には「肥料の3大要素」と呼ばれる窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)が欠かせません。
各要素の特徴や主な役割については下記の通りです。

栄養素特徴主な役割効果
窒素(N)植物の葉や茎の成長を
促進
とくに葉物野菜や若い
植物に重要
葉や茎の生育促進
濃緑色の葉を維持
高い収量と活力ある成長
リン酸(P)根の発育や花・実の形成に不可欠
エネルギーの貯蔵と転送に関与
根の発育促進
花や実の付きが良くなる
良質な果実と豊富な収穫量
カリウム(K)植物の耐久力を高める
病害虫への抵抗力を強化
根の発育促進
病害虫への抵抗力強化
健全な成長と高い品質の果実

 

これらの3要素が含まれる代表的な有機質肥料13種類を表でまとめたので、参考にしてください。

肥料名栄養素(%)特徴使い方
油粕窒素(N): 5〜7
リン酸(P): 1〜2
カリウム(K): 1〜2
有機を代表する窒素
肥料
土の中の微生物により分解され、ゆっくりと効果が現れる
ぼかし肥の材料としても利用
作付けの2〜3週間前に散布し、土によく混ぜ込んで使用
骨粉や草木灰で補うと効果的
骨粉窒素(N): 4
リン酸(P): 17〜20
カリウム(K): 0
基本的にリン酸を多く含む
ゆっくりと効果が現
れ、長続きする
作付け1か月前に散布し、土によく混ぜ込んで使用
堆肥と混ぜると効果が速まる
魚粉窒素(N): 7〜8
リン酸(P): 5〜6
カリウム(K): 1
窒素とリン酸を多く含む
作物のうま味を向上させる
植え付けの2週間前に土に混ぜ込んで使用
臭いがあるので土によく混ぜ込む
米ぬか窒素(N): 2〜2.6
リン酸(P): 4〜6
カリウム(K): 1〜1.2
リン酸の含有量が多く、糖分やタンパク質も豊富
土壌微生物の活動を
活発化させる
作付け2週間前に散布し、土によく混ぜ込んで使用
堆肥やぼかし肥の発酵促進剤としても利用
草木灰窒素(N): 0
リン酸(P): 3~4
カリウム(K): 7~8
即効性のアルカリ性土壌改良剤
防虫・殺菌等にも利用可能
土に混ぜて使用
使いすぎると土壌がアルカリ性に傾くため注意
バットグアノ窒素(N): 0.5〜2
リン酸(P): 10〜30
カリウム(K): 0
リン酸を多く含み、微量要素も豊富
効果が長続きする
作付け1か月前に散布し、土によく混ぜ込んで使用
堆肥と混ぜて施すと
効果的
ぼかし肥窒素(N): 5
リン酸(P): 4
カリウム(K): 1
三要素のバランスが良く、万能有機質肥料
効きだしが速く、長続きする
元肥として畝の表層にすき込む
追肥として野菜の周囲に薄くまく
有機石灰窒素(N): 0.2
リン酸(P): 0.1
カリウム(K): 0
主成分は炭酸カルシウム
pH調整や土壌の微量要素の補給に適している
まいた後すぐに苗の植え付けや種まきが可能
鶏糞窒素(N): 3〜4
リン酸(P): 5〜6
カリウム(K): 2〜3
窒素、リン素、カリウムの成分バランスが良い
価格が安く、効果が速く現れる
乾燥鶏糞を元肥として使う場合は、散布後1か月後に植え付け
発酵鶏糞は植え付けの2週間前に散布
豚糞窒素(N): 2.0〜4.0
リン酸(P): 2.0〜3.5
カリウム(K): 1.5〜2.5
肥料成分が高く即効性がある
銅や亜鉛などの重金属も含む
元肥として使う場合は適量を守る
過度な使用は避ける
牛糞窒素(N): 0.4〜1.5
リン酸(P): 0.2〜0.8
カリウム(K): 0.5〜2.5
繊維質が多く、土壌改良に適している
保水性や保肥性を高める
繰り返し施用して土壌を改良
大量に使うと塩害の
可能性があるため注意
馬糞窒素(N): 0.5〜1.0
リン酸(P): 0.3〜0.5
カリウム(K): 0.6〜1.2
土壌微生物を活性化
しやすい
保水性・保肥性に優れる
窒素肥料と組み合わせて使用
土壌改良に適した量を施用
もみ殻窒素(N)
 : ほとんど含まない
リン酸(P)
 : ほとんど含まない
カリウム(K)
 : ほとんど含まない
通気性と保温性を向上させる
肥料成分はほとんど
含まれない
水はけの悪い土壌に
混ぜ込んで使用
マルチング資材としても利用可能

以下では、それぞれの有機質肥料について3要素の含有量を含め、特徴や使い方をわかりやすく解説します。

油粕:窒素豊富な代表的有機質肥料

油粕は、植物の種子から油を搾った後に残る副産物で、有機質肥料として利用されています。
主に菜種油や大豆油の搾りかすが利用され、窒素を豊富に含んでいるのが特徴ゆっくりと分解され、長期間にわたり肥料効果を発揮します。

一方で、効果が現れるまでに時間がかかるため、即効性が必要な場合には不向きです。
分解の過程で有機酸が発生し、土壌の酸性化や肥料焼けのリスクもあります。

 油粕
栄養素
(成分表)
N(窒素):5〜7
P(リン酸):1〜2
K(カリ):1〜2
特徴有機を代表する窒素肥料
土の中の微生物により分解され、ゆっくりと効果が現れる
ぼかし肥の材料としても利用
使い方作付けの2〜3週間前に散布し、土によく混ぜ込んで使用
骨粉や草木灰で補うと効果的

参考:有機質肥料の機能性|髙橋久光
2010901929.pdf (affrc.go.jp),(参照2024-10-11)

骨粉:緩効性のリン酸肥料

骨粉は、動物の骨を粉末状にしたもので、リン酸を豊富に含む有機質肥料です。
リン酸は植物の花や果実の成長を促進するため、果樹や果菜類に適しています。

骨粉は土壌にゆっくりロ分解されるため、短期間で効果を求める場合には不向きですが、他の速効性のある肥料と組み合わせて使うことで、持続的かつ効果的に野菜の生長をサポートできます。

賢く活用すれば健康的な土壌環境を作り、豊かな収穫を目指せるでしょう。

 骨粉
栄養素
(成分表)
窒素(N): 4
リン酸(P): 17〜20
カリウム(K): 0
特徴基本的にリン酸を多く含む
ゆっくりと効果が現れ、長続きする
使い方作付け1か月前に散布し、土によく混ぜ込んで使用
堆肥と混ぜると効果が速まる

魚粉:味を良くする窒素・リン酸肥料

魚粉は、魚を乾燥させて粉末にしたもので、窒素とリン酸を豊富に含む即効性のある有機質肥料です。
とくに、作物の味を良くする効果があるとされ、トマトやなすなどの果菜類に使用されることが多く、果実の糖度や風味を向上させる働きがあります。

窒素とリン酸が豊富で、作物の生育と品質向上に効果的です。
一方で、特有の臭いがあるため、庭先や住宅周辺では使用量を調整しましょう。
土にしっかりと混ぜ込むことで、臭いを軽減することが可能です。

魚粉は発酵が進んでいない状態で使用すると、肥料が土壌で適切に分解されず、肥料焼けや醗酵不良を起こすことがあります。
発酵させたものや堆肥と混ぜて使用するのがポイントです。

適切に使うことで、魚粉は豊富な栄養を供給し、作物の品質向上に貢献する非常に有効な肥料といえるでしょう。

 魚粉
栄養素
(成分表)
窒素(N): 7〜8
リン酸(P): 5〜6
カリウム(K): 1
特徴窒素とリン酸を多く含む
作物のうま味を向上させる
使い方植え付けの2週間前に土に混ぜ込んで使用
臭いがあるので土の中に埋める

米ぬか:発酵促進に最適なリン酸肥料

米ぬかは、玄米を精白する際に得られる外皮や胚芽部分で、リン酸と微量元素を多く含む有機質肥料です。
堆肥やぼかし肥の発酵を促進する効果があり、使用することで土壌環境がより豊かになります。

土壌の微生物を活性化させる効果がある一方で、過剰に使用すると、土壌が酸性化するリスクもあります。
生のまま使用すると発酵に時間がかかり、虫がわきやすいという点もデメリットです。

油粕や石灰などと混ぜて醗酵させた「ぼかし肥料」として使用すれば、肥料焼けのリスクが軽減でき、散布後すぐに植え付けが可能になります。

 米ぬか
栄養素
(成分表)
窒素(N): 2〜2.6
リン酸(P): 4〜6
カリウム(K): 1〜1.2
特徴リン酸の含有量が多く、糖分やタンパク質も豊富
土壌微生物の活動を活発化させる
使い方作付け2週間前に散布し、土によく混ぜ込んで使用
堆肥やぼかし肥の発酵促進剤としても利用

草木灰:味を良くするカリ肥料

草木灰(そうもくばい)は、植物を燃焼させた後に残る灰で、カリウムを豊富に含む有機質肥料です。
とくににんじんや大根などの根菜類や、果樹栽培に適しており、カリウムが作物の生長や果実の品質を高める働きをします。

酸性土壌の中和剤としても利用され、土壌環境を改善する効果も。
アルカリ性が強いため、過剰に使用すると土壌がアルカリ性に傾き、野菜の生長が妨げられる可能性があるので注意が必要です。

また、他の肥料と混ぜると有毒ガスが発生するリスクもあるので、使用時は単独で摘日ませるか時間を置いてから他の肥料をまくようにしましょう。

 草木灰
栄養素
(成分表)
窒素(N): 0
リン酸(P): 3~4
カリウム(K): 7~8
特徴即効性のアルカリ性土壌改良剤
防虫・殺菌等にも利用可能
使い方土に混ぜて使用する
使いすぎると土壌がアルカリ性に傾くため注意が必要

バットグアノ:緩効性のリン酸肥料

バットグアノは、長い年月をかけて退席したコウモリのふんが化石化した有機質肥料で、リン酸を豊富に含んでいます。
ゆっくりと効果が現れるため、根の発達や花付き、果実の充実に効果を発揮するなど長期間にわたり植物に栄養を供給します。

効果が現れるまで時間がかかるため、即効性が必要な作物には向いていません。
また窒素とカリウムが不足しているため、他の肥料と組み合わせることで、よりバランスの取れた栄養補給が可能になります。

 バットグアノ
栄養素
(成分表)
窒素(N): 0.5〜2
リン酸(P): 10〜30
カリウム(K): 0
特徴リン酸を多く含み、微量要素も豊富
効果が長続きする
使い方作付け1か月前に散布し、土によく混ぜ込んで使用
堆肥と混ぜて施すと効果的

ぼかし肥:成分調整可能な発酵肥料

ぼかし肥は、日本で古くから利用されている有機質肥料で、米ぬかや油粕などを発酵させて作られ、3要素(窒素、リン酸、カリウム)がバランス良く含まれています。

土壌中の微生物を活性化させ、土壌の健康を保ちながら作物に穏やかに栄養を与えるため、作物の長期的な生長を支える効果が。
発酵によって栄養分が作物に吸収されやすくなるため、元肥や追肥に幅広く利用されている肥料です。

自家製ほかし肥も簡単に作れるため、家庭菜園から生産者の圃場まで、幅広く対応できる点が大きなメリットといえます。

発酵が不十分だと肥料焼けのリスクがあったり、自家製ぼかし肥だと材料や発酵状態にばらつきが生じたりなどのデメリットもあるので注意しましょう。

 ぼかし肥
栄養素
(成分表)
窒素(N): 0.5〜2
リン酸(P): 10〜30
カリウム(K): 0
特徴リン酸を多く含み、微量要素も豊富
効果が長続きする
使い方作付け1か月前に散布し、土によく混ぜ込んで使用
堆肥と混ぜて施すと効果的

有機石灰:酸度調整用カルシウム肥料

有機石灰は、貝殻や卵殻を粉砕して作られるカルシウム肥料で、賛成に傾きやすい日本の土壌に最適な肥料です。

酸性土壌の中和することで、作物の健全な成長を助け栄養吸収を改善します。

土壌に対して穏やかに作用する遅効性です。
定期的に散布することで、酸性土壌を中和でき、野菜の健全な成長を助け、栄養吸収を改善します。

 有機石灰
栄養素
(成分表)
窒素(N): 0.2
リン酸(P): 0.1
カリウム(K): 0
特徴主成分は炭酸カルシウム
pH調整やカルシウム補給に適している
使い方まいた後すぐに苗の植え付けや種まきが可能

鶏糞:速効性で三要素を含む肥料

鶏糞は、鶏の糞を乾燥または発酵させて作られる有機質肥料で、3要素(窒素、リン酸、カリウム)のバランスが良く含まれています。
速効性があるため、元肥や追肥に広く活用されている肥料です。

価格が手ごろで入手しやすく、コストパフォーマンスが高いのが大きな魅力のひとつ。
鶏糞は作物の生長を迅速に促す肥料として、多くの生産者や家庭菜園で重宝されています。

特有の臭いがあり、使用量や場所に注意が必要です。
また、過剰に使用すると土壌がアルカリ性に傾くリスクがあります。

  鶏糞
栄養素
(成分表)
窒素(N): 2.5
リン酸(P): 6.6
カリウム(K): 3.6
特徴 窒素、リン素、カリウムの成分バランスが良い
価格が安く、効果が速く現れる
使い方 定植の1週間前に土壌に混ぜ込むと効果的
乾燥鶏糞を使用する場合は、1か月前の施用がおすすめ

参考:畜種別堆肥の特徴|千葉県庁
畜種別堆肥の特徴/千葉県 (chiba.lg.jp),(参照2024-08-02)

豚糞:栄養価が高く速効性がある

豚糞は、豚の糞を発酵または乾燥させて作られる有機質肥料で、窒素やリン酸を豊富に含まれているため、作物の生長を強力にサポートします。
鶏糞と同様に肥料成分が高く速効性があるため、元肥としても追肥としても幅広く利用されています。

作物に必要な栄養を素早く供給し、収穫量の向上に貢献する優れた肥料です。
また、有機質肥料として土用を活性化させ、持続可能な農業にも役立ちます。

デメリットとして、重金属(銅や亜鉛)が含まれている場合もあり、長期間の使用には注意が必要です。

 豚糞
栄養素
(成分表)
窒素(N): 3.0
リン酸(P): 5.3
カリウム(K): 2.3
特徴肥料成分が高く即効性がある
銅や亜鉛などの重金属も含む
使い方元肥として使う場合は適量を守る
過度な使用は避ける

参考:畜種別堆肥の特徴|千葉県庁
畜種別堆肥の特徴/千葉県 (chiba.lg.jp),(参照2024-10-11)

牛糞:微生物の活動を活発にして土壌の保水力を高める

牛糞は、牛の糞を発酵させて作られる有機質肥料で、繊維質が豊富なため、とくに土壌改良で優れた効果を発揮。

保水性や保肥性を高め、長期的に土壌の質を向上でき、作物が健全に育つ環境を整える重要な役割を果たします。

農地の健康を保つために幅広く利用されていますが、肥料成分が少ないため肥料としての使用よりも土壌改良向きです。

過剰に使用すると塩害により食物に水分がうまく供給できなくなるなどのリスクがあるため、分量には注意しましょう。

 牛糞
栄養素
(成分表)
窒素(N): 1.72
リン酸(P): 1.75
カリウム(K): 2.95
特徴繊維質が多く、土壌改良に適している
保水性や保肥性を高める
使い方繰り返し施用して土壌を改良
大量に使うと塩害の可能性があるため注意

参考:畜種別堆肥の特徴|千葉県庁
畜種別堆肥の特徴/千葉県 (chiba.lg.jp),(参照2024-10-11)

馬糞:排水性を改善し土壌の改良におすすめ

馬糞は、馬の糞を発酵させて作られる有機質肥料で、土壌改良に優れた効果を発揮します。

保水性、排水性のバランスが良く、とくに粘土質の土壌に使用すると、土壌の通気性が大幅に改善され、根の健全な発育を促進。

窒素含有量が少ないため、他の肥料との併用することで、より効果的な栄養補給が可能になります。
土壌を健やかに保ちながら作物の生長をサポートし、持続可能な農業に貢献する肥料といえるでしょう。

 馬糞
栄養素
(成分表)
窒素(N): 0.6
リン酸(P): 0.6
カリウム(K):0.6
特徴土壌微生物を活性化しやすい
保水性・保肥性に優れる
使い方窒素肥料と組み合わせて使用
土壌改良に適した量を施用

参考:畜種別堆肥の特徴|千葉県庁
畜種別堆肥の特徴/千葉県 (chiba.lg.jp),(参照2024-10-11)

もみ殻:通気性と保温性を向上させ軽くて使いやすい

もみ殻は、稲の外皮を乾燥させたもので、肥料としては窒素・リン酸・カリウムがほとんど含まれておらず土壌改良材として利用されます。
とくに通気性や保温性の改善に効果的で、土壌をふかふかにし、根の発育を促進するのです。

肥料効果がほとんどないため、栄養補給の目的には適しておらず、水分を吸収しにくいため、使用前に水はけの悪い土壌に混ぜ込む必要があります。

もみ殻くん炭として使用することで、さらに土壌改良効果が。
くん炭はたくさんの小さな穴が空いているので、その中に酸素や水分、養分を貯められるのです。

 もみ殻
栄養素
(成分表)
窒素(N): ほとんど含まない
リン酸(P): ほとんど含まない
カリウム(K): ほとんど含まない
特徴通気性と保温性を向上させる
肥料成分はほとんど含まれない
使い方水はけの悪い土壌に混ぜ込んで使用
マルチング資材としても利用可能

参考:熱プロセスを経由するもみ殻の有効利用法|熊谷誠治
表1 (jst.go.jp),(参照2024-10-11)

【野菜別】有機質肥料の選び方完全ガイド

有機野菜を育てる際には、野菜ごとに適した肥料選びが重要です。
葉菜類、果菜類、根菜類、それぞれが必要とする栄養素は異なります。

各野菜に適した肥料を選べば、より質の高い有機野菜の栽培が可能に。
有機質肥料選びをしっかり行い、健康な有機野菜を育てましょう。
以下では、代表的な野菜に適した有機質肥料の選び方を解説します。

葉菜類(ほうれん草、小松菜、レタスなど)

適した肥料: 窒素が豊富な肥料(例: 油粕、鶏糞)

葉物野菜は、その名の通り葉を食べる野菜で、窒素が豊富な肥料を必要とします。
窒素は葉の成長を促進し、緑色を濃くする効果が。
窒素が豊富な肥料として、油粕や鶏糞が推奨されています。

果菜類(トマト、きゅうり、ピーマンなど)

適した肥料: リン酸が多めの肥料(例: 骨粉、魚粉)

果菜類は、花を咲かせて実を付ける野菜で、リン酸が豊富な肥料が必要です。
リン酸は、花や実の成長をサポートし、実付きが良くなるため、果菜類の品質と収量を向上させます。

リン酸が多めの肥料として、骨粉や魚粉が効果的です。
トマトやピーマンなどの果菜類がより甘く美味しく育ちやすくなりますよ。

根菜類(にんじん、大根、じゃがいもなど)

適した肥料: カリウムが豊富な肥料(例: 木灰、草木灰)

根菜類は、根の部分を食べる野菜で、カリウムが豊富な肥料が必要です。
カリウムは、根の発育を助け、収穫量を増やす効果があります。根菜類は土中で育つため、土壌が硬いとなかなか生長しません。

土壌改良を行い、環境を整えることも重要です。
カリウムが豊富な肥料として、木灰や草木灰が推奨されます。
にんじんや大根などの根菜類が太く長く育ちやすくなりますよ。

【栽培方法別】有機質肥料の選び方完全ガイド

有機質肥料を使う際は、栽培法オフや環境に応じた適せる奈選び方が重要です。
以下では、それぞれの栽培方法に適した肥料の選び方について詳しく解説します。

プランター栽培: 臭いが少なく、扱いやすい肥料

家庭でのプランター栽培では、室内やベランダでの使用が多いため、肥料の臭いが気になることばあがあります。
そのため、臭いの少ない有機質肥料が適しているといえるでしょう。

均一に施肥しやすい粒状の肥料は取り扱いが簡単で、プランターのような限られたスペースでも、効率よく使えるのでとくにおすすめです。

畑での栽培: 長期的な効果と土壌改良を重視した肥料

広いスペースでの畑栽培では、作物の生長に合わせて持続的に栄養を供給できる肥料が求められます。

土壌を改良する効果のある牛糞や馬糞、ぼかし肥などは、保水性や通気性を高め、作物が根を張りやすい環境を作ることが可能に。
窒素やリンさんが豊富な肥料を選ぶことで、長期的に作物の生長をサポートできますよ。

有機質肥料の追肥のやり方とタイミング

有機野菜を育てる際は元肥だけでなく、成長途中で適切なタイミングでの追肥が非常に重要です。
追肥は、野菜の成長を促して収穫時の品質や収量を向上させる役割があります。

以下では、有機質肥料の追肥のやり方とタイミング、追肥におすすめの種類について詳しく解説します。

有機質肥料の追肥のやり方とタイミング

化学肥料と比べ、効果が出にくいのが特徴です。
早めの追肥を行ってください。
追肥を行う際は、野菜の根の先端近くに肥料をまきましょう。

植物は根元よりも根の先端で栄養を吸収するため、根の先端に肥料を与えれば、効率的に栄養が行き渡ります。
肥料散布後に土をかぶせることで、微生物による分解が促進されます。

また、追肥後は十分な水を与え、肥料が土にしっかりと浸透するようにしてくださいね。


家庭菜園やプランター栽培での使用では、追肥のタイミングや施肥量を気にしすぎる必要はありませんが、化学肥料と比較すると、効果が出るまでに時間がかかるので、早めの散布がおすすめです。
作物の様子を見ながら少量ずつ施しましょう。

有機質肥料で追肥におすすめの種類

有機質肥料で追肥に適した種類と使い方を表でまとめました。

肥料の種類特徴使い方
魚粉窒素とリン酸が豊富で、果菜類に効果的。植物が成長期に入ってからが適切で、月に1度の頻度で行う。
草木灰カリウムが豊富で、根菜類に最適。追肥として使用し、収穫前に施肥すると良い。
鶏糞三要素をバランス良く含み、幅広い作物に対応。追肥として使用し、適度な水やりとともに施肥。

上記肥料は、即効性があり、作物が成長するために必要な栄養素を効率良く供給します。
この表を参考に、野菜の種類や栽培状況に合わせて適切な肥料を選び、効果的な追肥を行いましょう。

有機質肥料を使って美味しい野菜を栽培しよう

代表的な有機質肥料は、以下13種類あります。

有機野菜を育てるのが初めての人や初心者の人は、まずはぼかし肥がおすすめです。
窒素、リン酸、カリウムの3要素をバランス良く含んでいて、幅広い種類の野菜に対応できます。

また、有機栽培では追肥を行うのも重要です。
追肥は、最初に肥料をあげたあとに追加で施肥することを指します。
追肥におすすめの有機質肥料は、以下の表のとおりです。

肥料の種類特徴
魚粉窒素とリン酸が豊富で、果菜類に効果的。
草木灰カリウムが豊富で、根菜類に最適。
鶏糞三要素をバランス良く含み、幅広い作物に対応。

有機質肥料を正しく活用して、美味しい有機野菜づくりにチャレンジしましょう。